目次
ブックマーク
応援する
3
コメント
シェア
通報

第12話

11☆四捨五入


「吉岡せんせーい」

職員室を覗くと、バーコード禿げの吉岡先生がいた。離婚した夫もバーコード禿げだったから、なんか親近感わくのよねー。

「なんだ?卯月」

「数学のわからないところ教えてください」

「おいちょちょちょ。何があった?」

「だからー、わからないところの質問です」

「苦節40年。まともに勉強せんやつばっかり相手してきて、夢でも見とるんかな」

「早くしないと休み時間終わるう」

「わかったわかった」

一通り解説してもらう。

「で、こうなる。Xの値は不等号で示された範囲だから……」

「0、1、2?」

「正解!」

んーなんとなくわかったぞ。

「そーいえば、先生。金曜日の放課後に屋上に呼び出しくらったんですよ」

吉岡先生が眉をひそめる。

「他の娘が言うには、勧誘とかがあるっていうんですけど、ここの学校、宗教勧誘とかマルチ商法とか、大丈夫ですか?」

「そーゆーのは校則で禁じられとる。生徒手帳よく読め」

「じゃあ、何の勧誘?」

「……多分、四捨五入だろう」

「なんのこと?」

「部活をやるには部員が5名以上いないとだめなんだよ」

「部活の勧誘かあ!!」

「誰に誘われた?」

「1組の濱口くん」

「あー。あいつらバンドくみたいって言っとった」

バンド!

なーんだ

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?