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第10話

9☆ニアミス


「昨日はどこへ行ったかと聞いてるんだ!」

おっと。職員室の一角で2年の先生が大声をあげている。ひょこっと覗くと、彩奈ちゃんだあ。

しぼられてるけど、馬耳東風って感じ。

「昨日は病院で一緒でしたよ」

「そう、病院、って?!」

彩奈ちゃんと先生の間にちゃっかり居座る。

チャイムが鳴る。

「ホームルームですよ、先生。彩奈先輩解放してあげてください」

「お前はなんだ?」

「通りすがりの者です。ホームルームに遅れるのでこれで!」

すちゃ。右手で挨拶してとっとと職員室から飛び出す。

「ちょっと!」

彩奈ちゃんが追いかけてくる。

「余計なことしなくていい!」

「なんのことやら?」

私はすたたたたと1年の棟へ急いだ。

あの娘もなんか問題抱えてそうだなぁ。援助交際バレたら退学だろうし、ちょっと様子見しよう。

「卯月!急げ」

おっと。イケメンの先生が呼んでる。あれが担任?

教室に飛び込むと、窓際の自分の席に座る。

今日の伝達事項もイケメンが話すとうっとりしちゃう。後ろにバーコードが控えているけど、これはあれだな。新人教育の一環かな。若手が指導して至らないところをベテランが補うってやつ。

そっと周りを見回すと色白の肌ツヤツヤの子ばかり。

ぶ。

「どうした、卯月?」

「はなぢ、でました」

出血大サービス。みんながポケットティッシュカンパしてくれる。

「ずびばぜん」

刺激強すぎ。

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