9☆ニアミス
「昨日はどこへ行ったかと聞いてるんだ!」
おっと。職員室の一角で2年の先生が大声をあげている。ひょこっと覗くと、彩奈ちゃんだあ。
しぼられてるけど、馬耳東風って感じ。
「昨日は病院で一緒でしたよ」
「そう、病院、って?!」
彩奈ちゃんと先生の間にちゃっかり居座る。
チャイムが鳴る。
「ホームルームですよ、先生。彩奈先輩解放してあげてください」
「お前はなんだ?」
「通りすがりの者です。ホームルームに遅れるのでこれで!」
すちゃ。右手で挨拶してとっとと職員室から飛び出す。
「ちょっと!」
彩奈ちゃんが追いかけてくる。
「余計なことしなくていい!」
「なんのことやら?」
私はすたたたたと1年の棟へ急いだ。
あの娘もなんか問題抱えてそうだなぁ。援助交際バレたら退学だろうし、ちょっと様子見しよう。
「卯月!急げ」
おっと。イケメンの先生が呼んでる。あれが担任?
教室に飛び込むと、窓際の自分の席に座る。
今日の伝達事項もイケメンが話すとうっとりしちゃう。後ろにバーコードが控えているけど、これはあれだな。新人教育の一環かな。若手が指導して至らないところをベテランが補うってやつ。
そっと周りを見回すと色白の肌ツヤツヤの子ばかり。
ぶ。
「どうした、卯月?」
「はなぢ、でました」
出血大サービス。みんながポケットティッシュカンパしてくれる。
「ずびばぜん」
刺激強すぎ。