3☆あちらが挙動不審
変だな〜尾行してる女の子、人波から外れて閑散とした通りに出た。
これは、学校にたどり着けない予感。
しかし、彼女はどこへ向かってるんだ?
やがてビルの一角の喫茶店に入って行った。
私も入るか?いや、所持金が乏しいからやめとこ。
「おい」
きゃっ!
振り向くと、
「お兄ちゃん!なんで?」
「ただでさえ心配なのに、今日はメガトン級におかしいから後をつけてみれば、やっぱりなんかおかしいし」
はー。大きなため息。
「あのね、同じ制服の女の子の後をつけたらここの喫茶店に入ってった」
「ここ?」
「うん」
さっと電信柱の陰に引っ張られる。
話し声。
さっきの女の子と知らないおじさん。って、女の子の方も知らないんだけど。
おじさんが財布から万札5〜6枚出して女の子に渡す。
「もしかして援助交際?」
「かもな」
お兄ちゃんとこそこそ話す。
「どうする?」
「邪魔する」
「オッケー」
おじさんと女の子に追いつくと、私が女の子の手を取り引っ張っておじさんから引き離す。
「彩菜ちゃん、その子誰?」
おじさんが追い縋ってくる。
「おっさん、待てよ!若い女に金で言うこと聞かせて恥ずかしくねーのか?」
お兄ちゃんがおじさんの行手を阻む。
「彩菜ちゃん、どういうことだい?」
おじさんはお兄ちゃんを無視しようとした。途端に右ストレート顔面ヒット。お兄ちゃんやるぅ。
「きゃー!坂崎さん!」
彩菜ちゃんは私を振り切っておじさんの元へ。あり?
「君たちなんなんだい」
おじさんが顔を押さえてわめいた。
「えっと、援助交際かと思って……」
「違います!この人は弁護士さんで、離婚した両親からの仕送りを届けてくれたんです!」
あちゃー。
私とお兄ちゃんはコメツキバッタのように謝った。