プロローグ
もうすぐ50代。バツイチ、子どもなし、生活は中の下。
ここのところネガティブなことを考えてしまう。更年期障害?
どんなに頑張って財を成しても、子どもがいないのよ!私が死んだらなんにも残らない!
布団にすがりつき、おいおい泣く日々。
そして、誕生日の朝事件は起こった。
せんべい布団に寝ていたはずが、品の良いベッド。立ち上がっても膝の痛みはなく、身体が心なし軽い。
鏡を探して洗面所へ行く。
「これが……私?」
映ってるのは美人というよりは平凡な感じの、笑うと可愛らしい女の子!
「しずく。またなんとかごっこしてるの?」
だだだ誰?
若い男。上半身裸で、下はスェットを穿いている。
思わず鼻血がたらり。
「あんた誰?」
「はあ?」
「だから、どちら様?」
「お前の兄ちゃんだー!!!」
ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ。髪をかき回される。
「わ!ばっちい!なんで鼻血出てんの?」
「いいから早く服を着ろ!」
「なんで兄弟で興奮するかなー?」
「ほっとけ!」
私はタオル掛けからフェイスタオルをとると、顔に当てて天井を見た。
これはどうしたことだろう?
流行りの転生しちゃったかしら。