顔と指紋、ただの影絵
「守られている」と誰もが言うけれど
その影の中、迷子になる自分
財布よりも大切なものを
ひとりひとりに仕込まれた時代
「便利になった」と胸を張る声
でも、心の奥に響くは不安の音
「これで安心」と手にしたカード
でも、その裏に見え隠れする目
知らぬ間に紡がれる記録
過去は消え、未来は見えなくなる
番号ひとつで、誰でも追跡可能
その小さなカードが握るものは
自由か、監視か
私を定義する一枚の紙切れ
便利になったと、笑顔を浮かべ
でもその先にあるものは
無限の可能性?それとも罠?
本当に私は私なのだろうか
カードが示すもの、それは本当に
私自身の存在そのものなのか
それとも、誰かの手のひらの上の
ただのデータ、消えやすい夢なのか
私たちは流れるままに
カードを持ち、番号を刻み込む
でもその先に、私たちの名前は
どこまで消えていくのだろうか