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2.5「タロウ:始まりのあと」


 そんなんないで。なんなん生贄って。

 さすがにちょっとそれはないんちゃう?


 いきなり真っ暗になったか思ったらめっちゃ怖い赤目の兄ちゃんに絡まれて、絡まれたかと思ったら空から落ちるし。


 そんで生贄にって。

 ちょっと訳分からん。


 この目の前の赤目の兄ちゃんにそっくりな奴も、喋り方は丁寧やけどそれが逆に怖いっつうの。


 親子っていうか双子って感じやし。


 そんなん言うたかて夢なんちゃうの。

 これリアルに起こってるって信じる方が無理があるやん。


 いや確かに思ってたで。

 大阪住んでても知り合いもおらんし働く気も出んし、どっか知らん世界でニートしたいなーって。


 結局ニートかいって自分でも思うけど。


 そういや体痛かったのもうほとんど痛くないな。なんでやろ? やっぱ夢か?

 けど地面に突き刺さった時の痛さはリアルやった。さすがに腕で頭は守ったけど、腕バッキバキになった様な痛みやったし。

 それももう筋肉痛ぐらいの痛さしかない。


 なんなんやろ。

 うーん、分からん。


 とりあえずここおったら生贄にされんのか。

 まずいよな。


 よし!

 いっちょ逃げよう!


 逃げられませんでした!


 なんなんヴァンさんとやら、めっちゃ速いやん。


「なぁヴァンさん」

「はい」

「俺、生贄にされて死ぬんすか?」


 意を決して聞いてみたわけ。


 おぅおぅおぅ。

 めっちゃ説明長いやん。


 ほぉ。

 ほぉほぉ。


 それめっちゃ素敵やん。

 死ぬまでゴロゴロしてても良いの?

 願ったり叶ったりやん。


 散歩?

 魚釣り?


 いらんいらん。

 そんなんいらん。


 あ、ご飯作ってくれるん?

 異世界のご飯てどうなんかな。

 でも誰かの手料理なんていつ振りかなー。ちょっと嬉しかったりして。


 なんかバラ色のニート生活が待ってると思うと気持ちの余裕が感じられるね。余裕が。


 貯金もだいぶ減ってきてたしタイミング的にも相当良い。

 いや、最高に良いかも。


 うぉい!

 今のどうやった?

 いきなり火ついたんちゃう?



「魔法きたー!」


 きたわコレ。

 よく分からんけど勇者のなんたら言う人と同じくらいの魔力量とか言うてたし、俺も魔法使える様になるんちゃうのコレ。


 まぁ、あと五年で自動的に『魔法使い』になるところやったけど。

 今二十五歳でまだアレだから!

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