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第61話 イチロー、ついに戦場へ

 その日の夜、俺とハカセ、サクラ氏はボス氏の部屋に呼び出された。


「よし、全員揃ったね。実は君たちにお願いがあるんだ」


「ナミの事だろ?」


 だよね、俺でもそう思ったもん。


「さすが、サクラは察しがいいね。私の見立てでは、カトーとナミは……次の作戦で生きて戻れる可能性が低いと考えている」


「やっぱり、ボスもそう考えているのね……。私、ナミが死に急いでいるようで怖いの……」


「だから、イチローとサクラには、あの2人を助けてやってほしいんだ。私たちは7人で家族だからな」


 やはり、そういうことだったか。

 薄々は気付いていたのだけど、俺に何ができるのだろうか。


「ボス氏、俺にできることならやりたいんだけど、何をすればいいの?」


「準備が出来次第、宇宙海賊への攻撃作戦を考えている。その際、サクラは二階堂さんと突入作戦、カトーとナミは破壊ロボット停止作戦を同時に行うつもりだ」


「同時作戦……。戦略を分散しちゃっていいの?」


「元々人数が少ないから、集約したところで大して意味は無いよ。実際には同時というより、破壊ロボット停止作戦で相手が混乱している時にサクラたちが突入する感じだよ」


「でも、そうなると……。破壊ロボット停止作戦が成功しないと意味がないよね?」


「そのとおり。戦いというものは、相手の心理の裏側を突くのが基本なんだ。破壊ロボットを停止させられたら、敵を混乱させることができるな」


「あのさ、私は突入作戦なんでしょ。一体、どうやってナミたちを助けるのよ?」


「うむ。破壊ロボット停止作戦は、カトーとナミが担当だよ。サクラとイチローにお願いしたいのは……」


 ボス氏は、作戦の詳細を俺たちに話した。

 なるほど、この作戦なら……2人を救えるように思える。

 だけど、俺は上手くやれるのだろうか。


「ボス……イチローも戦うのね……」


「ハカセ、すまない。だから、ハカセの許可を取ろうと思って呼んだんだ」


「ハカセ、俺は大丈夫だよ。まずはナミ氏たちを生還させるのが最優先だからね。それに、サクラもいるんだから……きっと上手くいくはず」


「イチロー、私の名前をそんな風に使うなよ。自分の身は自分で守らなきゃダメだぞ。ハカセのためにも絶対に生きて帰るんだ」


「そうだね。生きてハカセと添い遂げなきゃね」


「イチロー……分かったわよ。皆のために戦うんだから、私は止めないわよ。でも、絶対に無理をしないでね」


 俺は……戦闘担当ではなかったから、戦いは怖い。

 でも、今は皆で力を合わせて戦わなければいけないんだ。

 俺たちが地球で生活をしていくには、避けて通れない問題だから。


「サクラ、イチロー、ハカセ……ありがとう。さて、準備の話もしようか。まず、ナミから聞いているのだが、転送装置の小型化と量産だ」


「小型化は問題なくできると思う。転送する機能以外を全て削除するから、使い捨てになるけどね。量産は3Dプリンタをフル稼働すれば、なんとかなると思うわね」


「そうか、転送装置の問題は解決しそうだな。次は、ガンガル初号機の話だ。拡張パーツの開発進捗はどのくらいだ?」


 現在、ガンガル初号機用に拡張パーツの作成を行っている。その原因となったのは、俺が下手くそすぎて、銃の反動でクルクル回ってしまったことだ。

 そこで、スラスター周りを全て見直して、自動で姿勢制御ができるようにしている。

 巨大な鳥の羽のように見えるので、『ガンガル・ウィング』と俺たちは呼んでいる。


「ほぼ完成しているわよ。あとは動作テストを繰り返して、パラメータの調整を行うくらいね」


「そうか、ならばイチローにテストをお願いしたい。ナミやカトーでは操縦が上手すぎてテストにならんからな」


 くっ、何も言い返せない……。

 だけど、いよいよガンガル・ウィングを操縦できるのか。


「ボス、私からも提案なんだけど、イチローに戦場での動きを覚えさせたいから、専用の訓練をさせてほしい」


 専用の訓練?

 俺がサクラと……!?

 ちょっと怖いんですけど。


「ボス、サクラ、私からもお願い。イチローの生存率が少しでも上がるなら、サクラに鍛えてもらいたい」


「イチロー、ビビってるみたいだけどさ、組み手みたいなことはしないから安心していいぞ。イチローのセンスだと強くなるのは期待できないからな。動きを覚えることに専念してもらうつもりだ」


 そ、それなら……なんとかなるのかな?


「よし、イチローはガンガル初号機のテストと、サクラとの戦闘訓練をしてもらうことにする」


 俺、一体……どうなっちゃうの?

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