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第60話 ガンガル大地に立つ!

「ナミ、今回の目的は調査だ。自動防御システムを稼働させて、データ収集に徹するんだ。無茶はするなよ!」


「りょ。それにしても、カトリンと一緒に出撃する日が来るなんてね。これだけはガチで予想できんかったよ」


 ウチはいよいよ、ガンガルMkⅡで出撃する。

 しかも、メインパイロットとしてだなんて、カトリンたちと出会った頃は想像もつかなかった。

 戦闘経験なんて全くないウチが、こんなヤバいロボットと戦うなんて……超アガるじゃん!


「ナミ、転送準備OKだよ」


「ガンガルMkⅡ、システムオールグリーン。転送どぞ」


「転送! 3……2……1……GO」


 景色がパッと変わって、ウチらが乗るガンガルは破壊されたパリの街に立っている。

 眼の前には……破壊ロボット!


「見つけた! カトリン行くよ!」


 地球の重力下でも、ガンガルMkⅡの機動性能は宇宙と遜色がない。

 敵円盤からの攻撃を軽やかに躱し、破壊ロボットの周囲を回っている。


「円盤の数が多いな。ちょっと減らしておくか」


 カトリンの攻撃が円盤に命中した。さすがの腕前だ。

 だが、円盤が派手に空中爆発を起こしたことで、破壊ロボットのターゲットは完全にこちらに向いたようだ。


 破壊ロボットから出ている4本の腕は想像よりも長く伸びるようで、私たちは四方からのビーム攻撃に逃げるだけで精一杯となった。

 ビームバリアを全開で展開しているが、このままでは持たないかもしれない。

 あと、こいつ……。意外と動きが早い!


「カトリン、まだ見つからないね」


「ってことは、上か、下のどちらかだな……」


「じゃあ、上から見てみよっか。スラスター全開、いくよ!」


 一気に急上昇し、円盤を盾にするような位置から監視をしてみると……あった!


「ナミ、背中の位置にそれっぽいハッチがあるな」


「そだね。データも取れたし、一旦戻ろっか。あ、その前に、もうちょっとだけ円盤潰しておこっか?」


「おっ、気が合うな。じゃあ、しばらく空中戦だな」


 そう思った瞬間、破壊ロボットは変形し翼が生えた。

 えっ、マジで!?


「カトリン、これはヤバいよ。あいつ、空まで飛べるじゃん」


「くそっ、撤退するしかないな」


 ウチは転送ボタンを押し、ステラ・ヴェンチャーに帰還した。

 目的は達成できたものの、戦いとしては負けだったと思う。


「おかえり! 無事で良かった」


 ハカセちんがウチに駆け寄り、抱きついてきた。


「ただいま。ちゃんとデータは取れているから、今から分析しよっか。カトリンも、後でウチの研究室まで来て」


「分かった。じゃあ、俺はボスに報告して、シャワーを浴びたらそっちに行く」


「りょ」


 ――


 私とイチローはナミの研究室で、さっきの戦闘データを分析している。

 想像を超えた結果に、私の頭を悩ませる。


「ナミ……この装甲分厚すぎない? うまく取り付いたとしても、ハッチが開けられないんじゃないかな……」


「それな。ガンガルのビームライフルでも、ほとんど傷もつかなかったんだよね」


「……あのさ、俺にアイディアがあるんだけど」


 私たちが困り果てていたのを見てか、イチローは真剣に考えてくれていたようだ。


「イッチ! それはどんな?」


「俺が二階堂氏と初めて会った日のことを覚えてる? あのとき、サクラ氏が地球人の死体の処理に困って、ナミ氏にお願いしたじゃん。あの手は使えないかな?」


「そっか、ハッチから半径1mとかの空間を宇宙のどこかに飛ばしてしまえば、穴を開けたのと同じってことか!」


「そういうこと。転送装置があれば、いちいち破壊をしなくてもいいんじゃないかって」


「イッチってさ、時々すごいこと言うよね。よく考えてみたら、さっきゅんの潜入作戦でも使えるじゃん」


 そっか、サクラが潜入する際、壁を消しながら最短ルートで進めるってことなのね。

 方向さえ分かってしまえば、強力な武器になるわね。


「そもそもなんだけど、あの破壊ロボットごと飛ばしちゃうことはできないの?」


「それは無理なんよ。あれは大きすぎるからね。ガンガルでさえ、補助装置を付けてギリギリ転送できているくらいだから」


「ステラ・ヴェンチャーが転移できるのはなんで?」


「自分自身を転移するのと、外の物質を転送するのは、必要な技術が違うんよ」


「そうか……じゃあ、仕方ないか。例えばさ、俺たちが使っているブレスレッド型の転送装置をもっと小型化して、破壊ロボットの上から大量にばら撒くってのはできるの?」


「アリ寄りのアリだと思うよ。ってかさ、その作戦しかなくね?」


 ナミが興奮気味に話すのを見て、私はどんどん不安になっていった。

 なんだか、ナミが死に急いでいるように思えたからだ。


「あのね、ナミ……。絶対に死なないって……約束してっ!」


「……うん。ハカセちんの花嫁姿、見たいしね。大丈夫だから、心配するなし」


 ナミはそう約束してくれたけど……。

 私の胸騒ぎは収まらなかった。

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