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第59話 破壊ロボットの倒し方、知らないでしょ? ウチはもう知ってますよ

 - 2週間後 -


 再び、ロンドン上空に無数の円盤が現れた。

 だが、今回はそれだけではなかった。巨大な蜘蛛のようなロボットが町を破壊し始めたのだ。

 本体からは脚が8本、長い触手のような腕が4本出ている。腕のようなものはビーム攻撃が可能らしく、ビルを次々に破壊している。


 逃げ惑うロンドン市民。

 だが、無情にもロボットと円盤の攻撃や、倒壊したビルに押しつぶされて、次々に命が奪われていった。

 一部の市民は円盤に捕まっている。恐らくは、人質目的で拉致しているのだろう。


「ひどい……」


 私は思わず、そう呟いた。

 彼らには何の罪もないじゃない。


「ナミ、ハカセ、準備はいいか。次に拉致が開始されたら、スパイドローンを円盤に送り込むんだ」


 そう、悲しんでいる場合じゃない。

 彼らを救うためにも、私にはまだできることがあるんだから!


「座標計算完了! 今から転送するよ」


 ナミが転送ボタンを押すと、スパイドローンの姿が消えた。

 モニタを見ると、円盤内部の映像が映し出されている。

 成功だ!


 船内の様子を見ると、私たちの星と同等か、それ以上の科学力を持っている可能性が高いということが分かる。

 奴らもワープ機能を実現しているようだし、これは油断ならない。


 私とナミはスパイドローンを人質の服に忍び込ませてから、待機モードへ移行させた。

 これで、突入時に稼働モードへ変更すれば、彼らの元に転送可能となる。

 目下の作戦は成功だったが、予想外の事態が起きていた。


「これは……なんということだ」


 私たちは、モニタに釘付けとなっていた。

 モニタの中では、例の破壊ロボットが大暴れしていた。その暴れっぷりが、私たちの予想を遥かに超えていたからだ。

 司令官だったボスが、驚きを隠せないのだから、余程のことなのだろう。


「ボス、これはどういう意図なのかな?」


 イチローが不思議そうな顔で、ボスに尋ねた。


「二階堂さんの情報通りだとすれば、奴らはこの星の人類を滅亡させるために殺人ウィルスをばら撒いたのだが、効果が無かった。そこで、物理的な破壊に作戦を変更したのだろう」


「でも、ウィルスとは違って、これじゃ滅亡させることは難しいんじゃないかな」


「そうだな。だから、主要都市を破壊しつつ、人質を使って地球を支配下に置こうとしているのかもしれないな」


 ――


 破壊ロボットの攻撃は、3日間休まず続いている。

 ロンドン、アムステルダムは壊滅し、現在はパリを攻撃している。


「今日で4日目ね……。まさかとは思うけど、こいつは自動運転で地球を破壊しつくすように設定されているんじゃないかしら」


「ハカセ、自動運転だと何が問題なの?」


「あのね、サクラと二階堂さんが敵戦艦に潜入して敵を全滅させたとしても、あの破壊ロボットは停止しない可能性があるの」


「その可能性が高いだろうな。例えば、地球人が核ミサイルを使って敵戦艦を攻撃する可能性を考えた場合、迂闊に敵戦艦を破壊することは破壊ロボットを停止させられないということになるんだ。つまり、あの破壊ロボットを止めないことには、我々の勝利は無いということだ……」


 やはりそうなんだ……。

 きっとボスの予想通りなのだろう。


 だとすれば、私たちはあの破壊ロボットとも戦わなければならない。


「ねえ、ナミ……。ガンガルMkⅡで勝てると思う?」


「やってみなけりゃ分からないけど、性能的には難しいんじゃないかな。相当爆弾を落とされているけど、傷1つないじゃん……。大きさだって何倍もあるし、とんでもない兵器だよ」


「ナミ、ハカセ、これは私の勘なんだが、これだけ大きなロボットなんだから、中に人が乗り込めるようになっているんじゃないか?」


 それはあるかもしれない。

 緊急時は人が乗り込んで操作できるようになっている可能性は考えられる。


「つまり、ボッスンはウチに乗り込んで止めてこいってことだよね?」


「いや、そこまでは言ってないぞ。それはさすがに危険すぎる」


「そう言ってるのと同じことでしょ。だって、ウチしかそんなことできないんだから。違うって言うなら、他にどんな方法があるわけ?」


「ナミ、ちょっと落ち着いて! ボスだって、そこまで言ってないよ」


「ハカセの言うとおりだ。私は可能性を総合的に評価しようと思っているだけだぞ。出来たとしても、危険すぎる」


「そう言うけどさ、さっきゅんが敵艦に乗り込むのと何が違うの? ウチじゃ信用できないってこと?」


「ナミ、落ち着けって。一体どうしたんだよ、おかしいだろ。だって、破壊ロボットについての情報は全く無いんだぞ」


「さっきゅんは黙ってて! ウチ、分かっちゃったんだよ。この方法が正しくて、絶対に上手くいくって!」


「また、その手の話か……。どうせ、また根拠がない勘なんだろ?」


「根拠? 今までウチが言ったこと、全部当たってるよね? それが根拠だよ」


 論理的な根拠がないのはサクラの言う通りだけど、実際当たってるのよね。

 あの頃の私とイチローの関係なんて、どう考えても上手くいくなんて想像できないもの。


「分かった。そこまで言うのなら、あの破壊ロボットに乗り込み用のハッチが存在するのか調べてみようじゃないか。ナミの言う通りなら、存在するはずだ」


 ボスの顔に諦めの色が見える。

 何を言っても無駄だから、少しだけやらせてみようということだろう。


「それでいいよ。よし、カトリン行こうか!」


「どこに?」


 急に名前が出てきて、戸惑うカトー。


「MkⅡで戦いにだよ。敵のデータを取るなら、それが一番いいっしょ」


「ナミ、目的を間違えないでくれよ。データを取ったら、すぐ戻るんだ。制限時間は5分だ」


「それでいいよ。カトリン、攻撃は任せたからね」


 ナミとカトーは、ガンガルMkⅡに乗り込んだ。

 私は二人の無事を祈らずにはいられなかった。

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