俺とナミ氏は、サクラ氏の戦闘データをもとに、仮想戦闘システムを構築した。
このシステムでは、さらに2つの仮想戦闘を行い、そのデータをガンガルMkⅡに搭載する予定だ。
1つ目は、10対1の近接がメインの戦闘だ。もちろん、中距離射撃での攻撃も想定されている。
同時に複数の相手をする際に視覚からの攻撃を想定して自動防御をさせるためのデータを取るのが目的だ。
もう1つは、巨大な敵を想定している。
1対1ではあるものの、巨大ゆえに取り囲まれた状態から全方向攻撃が行われる。
こちらは念の為に取得しておきたいデータだ。
「ナミ氏、準備ができたよ」
「じゃあ始めるよ」
ナミ氏がシミュレーションを開始すると、結果データがどんどん送られてくる。
やはり、対複数戦闘はできるだけ避けたいところだ。
でも、俺たちは人数が少ないから、パイロットとして戦えるのはナミ氏とカトー氏しかいない。
それを解決するための方法は、人工知能によるサポートという結論になった。
要するに、自分たちが攻撃に専念し、防御は完全自動化するということだった。
「イッチ、見て。勝率が上がってきた。自動防御が成功しつつあるっぽい」
「いいね。あと数日で完成しそうだね」
「あとはウチでやっておくから、イッチはハカセちんのフォローに回ってもろて」
「了解。最近ハカセの機嫌が悪いから助かるよ」
――
俺は、残りの作業をナミ氏に任せ、ハカセの元へ向かった。
ハカセは定期試験の真っ最中で、ちょっとピリピリしているんだよね。
「ハカセ、俺だよ。入るね」
「あっ、ダメ!」
ハカセはダメだと言ったのだけど、俺は返事を聞く前に勢いでドアを開けてしまった。
ちょうど着替え中だったらしく、俺は下着姿を見てしまった。
「ご、ごめん……」
俺は慌ててドアを閉じた。
これはマズイことをしてしまった。
ハカセとは婚約中だけど、肉体年齢が大人になるまで、こういうことが無いように気をつけていた。
まあ、キスは頻繁にしてるんだけど。
「……着替え終わったわよ」
ドアが開いて、真っ赤な顔をしたハカセが出てきた。
「ハカセ、ごめん! 返事を聞く前に勢いで開けてしまったんだ。これからは気をつけるから」
「べ、別にいいわよ……。婚約者なんだし。でも、私の体……イチローから見たら子どもだよね」
俺は、下着姿を見たことを怒られるのかと思っていた。
でも、ハカセは体を見られるより、自分の体型を見られるのが嫌だったようだ。
「そんなことない。大人っぽくなってきたと思うよ」
「へえ、イチローって……比較できるくらい、私の体を見ているのね……」
「あ、いや……そういう意味じゃ……」
「冗談よ。焦ることはないって頭では分かっているんだけどね。私、一番大事な時期に時間が止まってしまったから……」
「本当にごめん。でも、俺も焦っていないからね。あと4年くらい、あっという間だよ」
ハカセの治療は完了している。今の肉体年齢は14歳くらいだ。
成長期だから、すごく変化しているのだが、それでもまだまだ子どもだ。
「そうだよね。イチローもコーラを我慢してくれているのだから、私もちゃんと成長できるように頑張らないと」
「うん。今は高校生活を楽しめばいいと思うよ。未来のことは未来に考えればいいんだよ」
「ねえ、イチロー……。前に二階堂さんが言っていたという宇宙海賊だけど、本当に来るのかな……? 私、ずっと怖くて……」
「大丈夫だよ。戦いになったとしても、俺は絶対に死なないよ。だって、俺はハカセと結婚する約束をしてるんだから」
「嬉しい! 絶対に死んじゃダメだからね。絶対に結婚するんだから!」
俺はハカセを抱き寄せた。
すると、ハカセは俺の胸に顔を埋めて、またクンクンと匂いを嗅いでいた。
うん、やっぱり変態だ。