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第56話 銀河最強決定戦

 これは、銀河最強決定戦というべきだろうか。


 今日は、サクラ氏と二階堂氏の真剣勝負を行うことになっている。

 もちろん、戦闘データを取ることが目的なので、体中に計測機器やカメラを取り付けた状態で戦い、怪我をしないようにプロテクターも着用している。

 会場として、都内の体育館を借りた。絶対壊すなよ!


 ナミ氏とハカセは、その存在を二階堂氏に知らせていないので、カメラの映像を宇宙船から見ることになっている。

 現地の状況を持ち帰るのは、俺の大事な仕事だ。


「では、二人とも前へ!」


 レフリーは、カトー氏が務めることになった。

 他の人では、動きが早すぎてついていけないからなのだが、カトー氏でもやっぱりついていけないので、気休めみたいなものだ。

 本人に言ったら怒るだろうけど。


「私はいつでもいいよ」


「俺もだ」


 サクラ氏は、いつも通り裸足になり、両足を肩幅まで開いた状態で立っている。

 二階堂氏は、前のめり気味の特徴的な構えだ。


「では、開始!」


 ※ 戦闘描写がありますが、イチローの目では追えていません。あとで映像を見直して記憶を補足しています。


 合図と共に飛び出したのは二階堂氏。

 鋭い突きを繰り出すが、サクラ氏はしゃがんで躱した。

 躱すと同時に足払いを仕掛けるが、二階堂氏は体を捻って後方に退いた。


 今度はサクラ氏が仕掛けた。

 サクラ氏の姿が一瞬消えたかと思ったら、二階堂氏に強烈な前蹴りを見舞った。

 二階堂氏は腕を十字に構え、これを受け切るが、衝撃で再び後方に飛ばされた。


 サクラ氏の追撃は止まらない。

 掌底で体勢を崩したところに、膝蹴りがヒットした。

 堪らず倒れ込んだ二階堂氏の上にサクラ氏が跨がり、マウントポジションを取ったところで試合終了となった。


 ほんの僅かな時間だった。

 だが、両者ともに満足をしているようで、笑顔で抱き合った。


「やっぱり、サクラは強いなあ。動きが早すぎて、ついていくだけで精一杯だったよ」


「進、あなたもさすがよ。当たると思ってた攻撃がいくつか防がれちゃったしね」


「イチロー、データはちゃんと取れてる?」


「取れてるよ。……あ、でも、もうちょっと欲しいかも」


「なら、カトーも入れて2対1でやるか。そういうデータもあったほうがいいんだろ?」


 これはありがたい申し入れだ。

 実際、複数相手との戦闘はありうるだろうしね。


「そうだけど、カトー氏と二階堂氏はそれで大丈夫?」


「俺は構わんよ。ちょうどウズウズしてたところだからな。やっぱりレフリーじゃ退屈だったようだ」


「私もそれでいいですよ。これで丁度いいかもしれませんね」


「じゃあ、決まりだな。レフリーはいないから、いつでもいいぜ」


 サクラが合図をすると、カトー氏と二階堂氏が同時に攻撃を仕掛けた。

 事前の打ち合わせなんてしていなかったのに、息が合った左右からの同時攻撃となった。


 だが、サクラ氏はそれぞれの攻撃を片手で受け止めた。

 サクラ氏は開始位置から一歩も動かず、二人の連続攻撃を受け止め続けていた。


 いや、これは凄いだろ……。

 二人とも相当強いはずなんだが、サクラ氏からは別次元の強さを感じた。

 サクラ氏が言ってたけど、力ではカトー氏の方が上らしいんだよね。どうやって受け止めているのだろうか。


 しばらく受け止めていたサクラ氏だったが、こんどは躱し始めた。

 それも、紙一重という言葉がふさわしいくらい、ギリギリで見切っていた。

 きっと、データ収集のことを考えてくれているのだろう。


「くっ、さすがだな……。だが、これならどうだ!」


 カトー氏が渾身の蹴りを叩き込む。

 同時に二階堂氏もローキックを放った。

 恐らく、これが最後の攻撃なのだろう。


 その瞬間、二人まとめて地面に叩きつけられ、まとめてサクラ氏に抑え込まれていた。

 サクラ氏はカトー氏の蹴りを掴んで、二階堂氏に叩きつけたのだ。

 その結果、一瞬で二人まとめて抑え込んだということだ。


「す、すごい……」


「イチロー、また語彙力無くなってるぞ。ま、さすがにデータは取れただろ?」


「ああ、十分すぎるほどだね」


「くそっ、二人がかりでもダメなんて、どうなってやがるんだ!」


「サクラ、君は一体何者なんだい……?」


 俺は、落ち込む二人を尻目に、データの確認を行った。

 ナミ氏が最新の戦闘力測定装置を作っていたので、確認してみたが……。


 サクラ氏は……400万!

 二階堂氏が80万、カトー氏が30万だった。


 カトー氏、すごく強くなっているじゃん! 頑張っていたもんな。

 でも、文字通り桁が違うんだよな。

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