目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第55話 イチロー、ついにアレがバレる

 - 治療開始から2年 -


 特効薬の発見から2年が経過した。

 意外なことに、治療を選択したのはハカセとサクラのみだった。

 皆それぞれ思いがあるのだと思う。

 例えば、カトー氏は二階堂氏が言う宇宙海賊との戦いを想定して、不老不死のままでいることを選んだようだ。


 ハカセは治療が完了し、成長期に入ったようだ。

 いつの間にか声も変わってきたし、顔立ちも大人っぽくなってきたと思う。

 婚約者としては、日々が楽しみだ。


 俺はナミ氏の助手となって、最新兵器の開発に着手している。

 最新兵器……これは、ガンガルMkⅡと命名している。

 ガンガル初号機は宇宙戦闘特化型なので、地上戦もできるオールマイティータイプが必要だと判断した結果だ。

 もちろん、ガンガル初号機にもカスタムパーツで地上戦も可能にする改修を行っている。


「ナミ氏、MkⅡの近接戦闘データだけど、どうやって構築したらいいと思う?」


「難しいね。ガンガルは近接戦闘を想定していないからデータの流用もできないし……」


 そう、MkⅡは地上戦も想定しているので、高い近接戦闘能力を持たせることを考えている。

 粒子砲も装備しているが、射程が長くないので、やはりある程度の距離まで近づく必要もある。


「MkⅡがサクラ氏くらい動ければいいのにね」


「えっ? さっきゅん……それ、アリよりの有吉の壁じゃん」


「え、サクラ氏とMkⅡが戦うってこと?」


「そうじゃないよ。誰かとさっきゅんが戦って、そのデータをMkⅡに搭載するんだ」


「あ、そうか。それなら、サクラ氏みたいな動きができるってことか」


 これは凄いことだと思う。

 サクラ氏みたいなアクロバティックな動きができたら、近接戦は最強でしょ。


「問題は、誰がその役をやるかってことだね。カトリンじゃ、さっきゅんの本気を引き出すのが難しいんじゃないかな」


「あのさ、二階堂氏に頼むのってマズイかな? 現実的な話として、サクラ氏の次に強い人であることは間違いないんだよね」


「そだね。とりあえず、ボッスンに聞いてみよっか」


 俺たちはボス氏に確認してみた。

 あまりいい返事が期待できないと思っていたのだけど、何の問題もなく許可が下りた。

 ボス氏が言うには、別にこちらの戦闘データを渡す訳では無いし、逆にこちらは二階堂氏の戦闘データを入手できるからだそう。


 続いて、サクラ氏にも相談してみた。


「あ、別にいいよ。ボスの許可が出ているのなら、話が早いわね」


「ねえ、さっきゅんから聞いてもらっていい?」


「いいよ。じゃあ、早速聞いてみるね」


 サクラ氏はスピーカーモードで電話を掛けてくれた。

 プルルル……ガチャ。


「サクラ、どうした?」


「あのさ、ウチのボスがね、私の戦闘データがほしいって言っててさ、手伝ってくれないかな」


「えっ、戦闘データ……? 俺がサクラと戦うってこと?」


 ちょっと待って。

 なんか……やたらと親密な関係っぽい感じがするんだけど。


「そうみたい。進も私と本気で戦ってみたいって言ってたし、丁度いいかなって思うんだけど」


 うわっ、進って呼んでるよ……。


「マジか! やるよ、是非やらせてください」


「じゃあ、決まりだね。日時が決まったら、また連絡するね。じゃあ、まったね~」


 電話を切ったサクラ氏は、いつもと違っていた。

 なんていうか、乙女の顔をしていた。


「サクラ氏……もしかして、二階堂氏と付き合ってるの?」


「そうだけど?」


「え……ボス氏はそれを知ってるの?」


「知ってるよ。っていうかさ、イチローは知らないんだっけ? 私、みんな知ってると思ってたんだけど」


「ちょ……マジで? ナミ氏は知ってるの?」


「知ってるに決まってんじゃん。っていうかさ、知らないのはイッチだけだったりして~」


 そのまさかだった……。全員に聞いてみたけど、俺以外は全員知っていた。

 サクラ氏があまり関わっていなさそうなナカマツ氏でさえ、ちゃんと知っていたくらいだ。

 どうやら、大食いチャレンジを二人で荒らしているうちに、意気投合したということらしい。


「ひ、ひどい……」


「イチロー、すまないな。でもさ、イチローは私よりも、私の胸の方に興味があるのかと思ってたよ」


「えっ?」


「いや、いつも胸の方ばかり見てくるからさ、私自身にはそれほど興味がないのかなって」


 ぎゃああああああ!

 ナミ氏とハカセに言われてたやつだ。本当に気付かれていたのか……。


「……」


「私は別に気にしないけどさ、ハカセが怒らない程度にしておけよ……。なあ、ムッツリスケベ君!」


 サクラ氏はニヤニヤしながら、自分の部屋に戻っていった。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?