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第2話 50年経過。

 いま1924年。

 50年経ったらしいよ。


 不老不死のせいかあんまり疲れたりしないから、暇だし爺さんがやってた山伏トレーニングしてたら健脚になってきた。あの超能力以外になんかの力に目覚めるとかは全くないけど。


 長ぇわ50年。歳はちっとも取らんけど実年齢32だから超能力的には82歳ってことになるはず。


 っていう事は……2㎜掛ける1.1を……10歳ん時からだから21回と50回……………………


 おいおい…………これもう端数いらねぇな…………


 …………1,737㎜だと!? なんで!? 元が2㎜なのにナンデ!?


 1,737㎜ってったら173㎝だぞ!

 それちょうど俺ひとり丸ごと消し飛ばせるじゃない!


 こえぇ……。ビビった……。

 82ったら長生きすりゃ充分いける。人ひとり消滅させられる爺ちゃんになってたのか俺。こえぇ。

 もうこれしょっぱくない超能力やでぇ。


 こりゃ確かに全力で使うなって山伏爺さんも言うよね。


 あぁ、ビビったで思い出したわ。あの山伏爺さんが俺呼びつけといて一年で死んだのもビビったね。


 てっきり爺さんの時間も止まってるもんだと思ったら、止まってんの俺だけなんだって。言っといてくれなきゃそんな重要なこと。


 いやもちろん分かってるのよ。

 鬼の封印と俺召喚に力使って弱ってたってのはさ。爺さん以外の仲間はそのせいで軒並み死んだらしいしさ。


 けどいきなりこんな昔で一人ぼっちって寂しくて死んでしまうじゃんね。いや俺死なないんだけど。でも死ぬじゃん寂しくて。心が。


 そうは言ってもなんだかんだで元気にやってるんだけどさ。

 爺さんの一族の関係者だって連中がお金とか小屋とか、ちょこちょこ世話してくれるしね。

 そういや俺も一族の子孫らしいわ。全く知らんけど。



 爺さんの遺言は四個だけ。


 一。年に二、三回はゴハン食べろ。

 二。二、三十年経ったら全力の超能力は使うな。

 三。あんまり街に長居するな。

 四。修行は続けろ。


 以上。

 二についてはなんでか分かったね。どえらいやんね。

 いや全部ちゃんと説明は聞いてあるし理解してはいるけど、二は今しっかり実感した。


 一は俺の健康とかそんなんじゃなくて、爺さんたちが俺に掛けた術の効果持続のため。

 でも食べなきゃ死んじゃうわけじゃなく、術が切れて現代に戻されるだけらしい。どうしても嫌になったら食わずに戻れ、って事だ。

 いざともなったら無い話じゃない。けど戻ったらその翌日に鬼出るんだもね。聞いた話じゃ山くらいの鬼。ないわー。


 三は不老不死がバレるとマズいから。

 なんと言ってもついに昭和元年。こんな年末スタートだったん知らなかったよ昭和。

 まだまだ早い気はするけど、世界の不思議を追え――いつまでも歳を取らない男! とかってムーだかヌーだかあるじゃん。そんなのに取り上げられたら大変だもんね。

 もちろんタイムパラドックス的なこと仕出かさない様に、ってのもあるんだけど。


 そんで四。

 これは主に射程距離と精度の訓練。極端な話、いまもう2メートル弱の能力に育ったわけだけど、これ射程距離が1メートルしかない状態で全力で能力使ったら俺も喰われちゃうんだよね。


 生き物に対して使った事ない――あ、脚の長い嫌な虫とかには使ったことある、山の中だし昔だし多いんだよね――んだけど、きっと俺だって食らったら死ぬ。いやいや今は不老不死だから死なないけど、不老不死終わりで食らったらって意味ね。


 だからそうならない為に、精度と射程距離の訓練は欠かせないんだよね。思ってたより真面目に超能力生活やってるな俺。

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