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見てくれているリスナーが兄だったんだけど!???
見てくれているリスナーが兄だったんだけど!???
百瀬三月
文芸・その他ノンフィクション
2025年01月24日
公開日
9,975字
連載中
当時、高校生だった大阪に住む桃未《ももみ》 紗倉《さくら》は両親からの虐待を受けていた。
限界を迎えて今にも自殺をしようと考えていた時、たまたま目に入った広告があった。
『VTuber 誠意募集中!』
ここに人生の活路を見出した紗倉は、まだ希望を持って過ごすことにした。

結果的に大小様々な事務所を受けたが、結果はことごとく惨敗。
 最後の希望としてに小規模な事務所をダメ元で受け、奇跡的に受かった。
配信者経験のない紗倉だが、配信者としての活動をスタートさせる紗倉は不安と重圧に押しつぶされそうになるも、リスナーのみんなの期待を背負い成長していく中での人生の一ページ。

実はフィクションじゃなかったりする。
ある人の、今も続いている物語。

第1話 デビューです!!!

「今日は初配信に来てくれてみんなありがとう!」

 その言葉と共に、画面に映るコメント欄が流れていく。

『これから応援します!』

『かわいい!』

 内容は様々だ。

「今日の配信は終わりやけど、明日からバリバリ活動していくからね〜」

「じゃあ今日の配信はここまで!この後に同期のえすらちゃんの初配信もあるから、そっちもよろしくね〜」

 そう言って、配信が終わった。

配信時間はおよそ30分。

同接は300人をゆうに超えていた。

配信が終わった後でも、SNSはその子の話題で持ちきりだった。


新規Vtuber事務所、『喫茶ままれ〜ど』

20XX年夏、三人の新人がその事務所からデビューした。

その中でも一際目立っていたVTuberがいた。

名前を桃花ももか めるる。

見た目はメイド喫茶のようなメイド服に身を包み、名前に入っている桃らしくピンクの派手髪だ。

 見た目のインパクトはさながら、デビュー前の発表の時点でかなり話題になっていた。

その理由は、なんと言っても親しみやすさにあったと思う。

 SNSでアカウントが出た当初から、興味を持ってくれている人に片っ端から返信を送っていた。

 初日からファンが大量にできていたのは当然、トレンドに名前が載っていたのも記憶に新しいだろう。

絡みもさながら、SNSでの活動もかなり活発だった。

SNSからデビューしてから初配信までの10日間は、毎日100〜200ほどのツイートを行っていた。

大半は自分に対しての反応だったが、それでも凄まじい努力が垣間見えていた。

ファンに積極的に絡みに行く姿勢が、当時からしたら物珍しかったのだろう。


そんな子が、VTuberとして、そして一人の人生として、紡いでいく物語である。

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