「今日は初配信に来てくれてみんなありがとう!」
その言葉と共に、画面に映るコメント欄が流れていく。
『これから応援します!』
『かわいい!』
内容は様々だ。
「今日の配信は終わりやけど、明日からバリバリ活動していくからね〜」
「じゃあ今日の配信はここまで!この後に同期のえすらちゃんの初配信もあるから、そっちもよろしくね〜」
そう言って、配信が終わった。
配信時間はおよそ30分。
同接は300人をゆうに超えていた。
配信が終わった後でも、SNSはその子の話題で持ちきりだった。
新規Vtuber事務所、『喫茶ままれ〜ど』
20XX年夏、三人の新人がその事務所からデビューした。
その中でも一際目立っていたVTuberがいた。
名前を
見た目はメイド喫茶のようなメイド服に身を包み、名前に入っている桃らしくピンクの派手髪だ。
見た目のインパクトはさながら、デビュー前の発表の時点でかなり話題になっていた。
その理由は、なんと言っても親しみやすさにあったと思う。
SNSでアカウントが出た当初から、興味を持ってくれている人に片っ端から返信を送っていた。
初日からファンが大量にできていたのは当然、トレンドに名前が載っていたのも記憶に新しいだろう。
絡みもさながら、SNSでの活動もかなり活発だった。
SNSからデビューしてから初配信までの10日間は、毎日100〜200ほどのツイートを行っていた。
大半は自分に対しての反応だったが、それでも凄まじい努力が垣間見えていた。
ファンに積極的に絡みに行く姿勢が、当時からしたら物珍しかったのだろう。
そんな子が、VTuberとして、そして一人の人生として、紡いでいく物語である。