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第109話 古代語=エルフ語のイメージなのかな?

「それで、その怪しい金属のプレートはどこにあるの?」


 ノートのページに挟まっていたり……もしないね。

 どこに行っちゃったんだろう。

 人間からノートになる呪いをかけられた時に落としたのかな?

 そうなると、金属プレートが光った場所ってことになるから、おっさんの自宅なのかなー。


『まずは金属のプレートを探して、その詳細を調べてほしいんや。それがワイの最初のお願いやな』


「なるほど。話はだいたい理解したー」


 金属のプレートがマイケルおっさんをノートに閉じ込めた呪いのキーアイテムだとすると、それを見つけて破壊するか何かしないと元の姿には戻れない、と。


 なんだかすごくまともなクエストっぽく感じてきた!

 ノートのおっさんの依頼っていうのは微妙だけど、いっちょやったりますかー!


「というわけだけど、≪セリー≫は話の流れは追えた?」


 期待はしていませんが一応確認。


「ノート……おじさん……?」


 目が泳いでいるってレベルじゃないね。

 ≪セリー≫は視力を良くするための訓練でもしているの?


 まあ、ぜんぜん期待はしていなかったので大丈夫です。


「≪セリー≫と配信を見てくれている人に向けて、ざっとまとめて説明するね」


「お、お願い! ちゃんと聴くから!」


 今度はちゃんとついてきてねー。


「おっさんは怪しい行商人から怪しい金属のプレートを渡されて、そこに刻まれた呪いか何かの力によって、このノートにされてしまったか、ノートの中に閉じ込められてしまった。おっさんは人間に戻りたい。だからわたしたちに頼みたいのは、怪しい金属のプレートを探し出して呪いを解く方法を調べてほしい。と、まあこんな感じ。わかった?」


 うん、我ながらうまくまとめられたと思う。


「金属のプレート? もしかしてそれって、これのこと?」


 ≪セリー≫が手のひらサイズの金属の板を見せてくる。


『それや~! ワイのプレートや!』


 うるせー!

 脳内に大声を送り込んでくるな!


「おー、どうやらそれがおっさんのお目当てのものらしいよ。≪セリー≫はそれをどこで?」


「さっき宝石のスイッチを押している時にきれいだから拾っておいたの。見たことない文字が書いてあるし、あとでママに見てもらおうかと思ってたのよ」


 古代語=エルフ語のイメージなのかな?

 まあ、長生きしている≪サリー≫さんなら、読めないまでも何の文字で書かれているかはわかりそうだよね。


「ナイス、≪セリー≫! おかげで1つ手間が省けたよ。でも、おっさんの言うことが正しいとすると、その金属のプレートが突然光ってノートにされちゃうかもよ?」


 今のおっさんみたいに。


「そ、それは困るわ!」


 ≪セリー≫が慌てて金属のプレートを投げ捨てた。


『おい! 大切に扱えや! ワイの命がかかっとんねん!』


「……何も起きないね。セーフ」


 投げた拍子に何かが発動しなくて良かった……。


「んー、どうしようね、この後?」


 金属のプレートは見つけたけれど、わたしたちには古代語は読めないし、どうやって何を発動させたら良いのかもわからない……。


「この金属のプレート……拾っても大丈夫かな……?」


 わたしが拾った瞬間に何かが発動したりしない?


 これは主に≪サポちゃん≫に尋ねています!


【このクエストの詳細は知らないため、適切なアドバイスは致しかねます。しかし何か行動を起こさないと先に進まないのではないでしょうか】


「ううーん。ずっと≪セリー≫が持っていたわけだし、持つだけなら大丈夫なのかな……」


「お姉さま! がんばって!」


 いや、わたしの腰にしがみついた状態で応援されても……。

 ≪セリー≫が拾ってくれても良いんだよ?


 ダメだ。もう何もする気がなさそう。

 ホントこの子は……。


『はよ~、ワイを助けてくれや』


「はいはい、わかりましたわかりました。とりあえず拾いますよ」


 床に落ちた金属のプレートに爪で触れてみる。


 カツカツという金属特有の響き。

 とくに反応はなし。


 まあ、大丈夫かな。


 プレートを掴み上げて手のひらに乗せてみる。


 ひんやりとした感覚。

 とくに何も起きず。


「んー、何の金属なのかな。鉄? にしては軽い……」


 鏡のように反射するほど磨かれているわけでもない。

 形自体も少し歪な……金属の塊を叩いて伸ばしたみたいな?


「お姉さま……かしら……?」


 ≪セリー≫がわたしの肩越しに、手のひらに乗る金属のプレートを覗き込んでくる。


「ん?≪セリー≫、今何か言った?」


「その金属のこと……。鉄じゃないならお姉さまなのかなって!」


 ≪セリー≫はすぐに顔を引っ込めて、わたしの腰辺りに隠れてしまった。


「わたしって? どういうこと?」


「アルミ……もう忘れて!」


「え、まさか……アルミニウムってこと?」


 ボケたの?

 このタイミングで?


 ぐりぐりと腰に押しつけられる≪セリー≫の顔。

「フーフー」と直接吹きかけられる息が熱い……。


 照れ隠し?

 かわいいな♡


「わたしの名前はアルミニウムの≪アルミちゃん≫ではないんだけど……≪セリー≫が渾身のボケをしてくれたし、記念に≪アルミニウムちゃん≫に改名しちゃおうかな?」


 単純に本名の「有海」から来ているんだけど、わざわざ配信で言うことじゃないよね。

 それにしても≪セリー≫がボケてくるなんてねー。

 そんなに恥ずかしがるなら言わなきゃ良いのに。でもかわいい♡


『≪アルミニウムちゃん≫、はよワイを助けてくれや』


「おっさんは黙ってて! 気安く名前を呼ばないでくれない? セクハラで訴えるよ!」


『名前を呼んだだけで理不尽すぎひんか……』


 セクハラは相手が不快に感じたらそれだけで成立するんですよ!


【注:必ずしもすべての訴えが認められるわけではありません】


 今のは認められると思うなー。

 女の子同士で愛称を呼び合っている時に、急におっさんが入ってきて、ニヤニヤ顔で愛称で呼んで来たら完璧にセクハラですよね?


【ノートなので表情はわかりません】


 まあそこは想像だけど。


『頼むでほんま……』


「ちゃんと考えるから、ちょっと待ってよ」


 うーん、うーん。

 なんか金属の呪いの起動方法……。


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