職場と自宅を行き来するだけの毎日を過ごす。
何にも興味が持てない。
誰とも関わり合いになんてなりたくない。
ひどく退屈な日々だった。
そんなある日、ミノリが月面基地建設の調査中に行方不明になったことを人伝に聞いた。小学生の時から交流がある唯一の知り合い……旧友からの連絡だった。
オレが27歳の誕生日を迎える前日のことだった。
「へぇ、そうか」
それを聞いても特に何も感じなかった。
ミノリのことをLINEで知らせてきた唯一の旧友をブロックし、スマホをベッドに放り投げる。
ヤツが長文で送ってよこした日本主導の月面基地建設計画のことも、調査中の事故のことも、何もかもどうでも良かった。
「オレには関係ない」
あえて独り言を口に出してみた。
宇宙はオレのことを選んでくれなかったし、それ以上オレも追い求めなかった。
ただそれだけのことだ。
明日からまたいつもと変わらない日々が始まるのだ。