「力のある者を集める必要がある。」
祖父はそう考えた。しかし、その道のりは容易ではなかった。大きな問題が彼の前に立ちはだかったのだ。それは、自分の娘が重い病を抱え、余命が長くないという現実だった。
娘を救いたい一心で、祖父は世界中から悪魔に関する文献を集め始めた。そして、ついに手にした一冊の原書――それが、悪魔召喚の書だった。
祖父は悪魔を召喚し、自らの魂を引き換えに娘に20年の寿命を与える契約を結んだ。寿命が尽きたとき、祖父の魂は悪魔のものになる。
その条件を受け入れた祖父は、悪魔の力によって娘を救うことに成功した。
しかし、この契約を交わしたことが、祖父の運命を大きく変えることになる。召喚された悪魔は、この地に強い興味を抱き、祖父と話し込むようになった。地球や人類について語り合ううちに、悪魔は祖父の考えに同意する。
「この地を『門』とし、力ある者を集めよ。」
悪魔はそう提案した。祖父が生きているうちには叶わないかもしれない。しかし、何年、何十年かけてでも、この地に力ある者たちを呼び集め、地球を守るための準備を整える。そう約束してくれた。
悪魔は約束通り、潜在的な能力を持つ者たちに呼びかけ始めた。その声は国籍も年齢も性別も問わず、彼らの意識に直接届いた。
「来たるべき日に備えよ。」
「この地に集え。」
「この星を守れ。」
手記の最後には、祖父の覚悟が記されていた。
「私の寿命は近い。だが、私たちの意思を継ぐ者たちがこの地に集うことを信じている。」
「『門』に集まりし者よ、この星を守ってくれ。」
祖父の最後の願いとともに、手記は静かに終わっていた。
手記を閉じると、私はしばらく動けなかった。祖父が命を懸けて守ろうとしたもの――それが何であるのか、その重さが胸に迫る。地球を守るために命をかけた祖父の遺志。そして、彼が招いた悪魔の協力。
この「門」に集まった私たちは、果たして祖父の願いを叶えられるのだろうか。
「この星を守れ。」
深い思索の中、手記の最後の言葉が胸に響いていた。
手記を読み終えたそのとき、最後のページに気づいた。そこには、丁寧に描かれた地図が残されていた。地図には、近くの廃村への道筋と、その中にある特定の建物の位置が記されていた。
「これが祖父の最後の導き……」
私は心の中でそう思った。
彦作が地図をじっと見つめながら言った。
「ここに何かが隠されているのかもしれないな。」
ドクター・ヴォーンも同意した。
「うむ、これは明らかに手記の続きだ。我々が次に進むべき道を示している。」
私たちは互いに目を合わせ、決意を固めた。そこに何が待ち受けているのかは分からない。だが、この地図が導く場所に何か重要なものがあるのは間違いない。そう確信した。