翌日
作戦決行の時が来た。
14:00、私たちは森の中に潜み、敵を待ち伏せた。私は瓢六とともにスーパーマーケットの屋上に陣取り、全体の指揮を執る。仲間たちは各々の配置につき、緊張の中にも確かな信頼が漂っている。
「敵接近中。」偵察のオルヴァーか連絡が届いた。
「大型重装甲機兵2体、歩兵8名、6脚支援車両1、ドローン指揮官機1。」
瓢六が双眼鏡を覗き込み、冷静に報告する。
「指揮官機が先行している。」
「了解。全隊攻撃準備、合図を待て。」レイナが短く指示を飛ばした。
指揮官機が攻撃地点に侵入した瞬間を見計らい、私は叫んだ。
「電子妨害開始。」
ヴァルハラ隊の兵士たちが迅速に妨害を開始する。指揮官機の動きが鈍るのを確認すると、レイナが即座に指示を出した。
「攻撃開始、指揮官機を落とせ。」
一斉に放たれる携帯式地対空ミサイル。その閃光が森の静寂を切り裂き、指揮官機は大きな爆発を起こして地面に沈んだ。しかし、敵兵たちはすぐさま戦闘態勢に移行し、反撃を開始する。
「重装甲機兵を攻撃。」
レイナの声が響き渡る。
対戦車ライフルが一斉に火を噴き、重装甲機兵に衝撃を与える。だが、その装甲は厚く、決定的なダメージには至らない。
「ウィッチナイト、作戦行動開始!」
私は無線で彦作に指示を飛ばした。
「了解、ボス。出撃する。」
彦作はエンジンを始動させ、爆弾を搭載したドラケンを駐車場から飛び立たせた。
戦場は一気に火力が増し、敵とこちらの部隊が激しく応戦を繰り広げる。森の中に銃弾の嵐が舞い、爆発音が絶え間なく響き渡る。
敵の6脚支援車両が前進し、分厚い装甲で攻撃を防ぎながら、歩兵を守るように進撃してきた。
「敵に位置がバレた。全員、第二ポイントへ後退する!」
レイナが霧を巻き起こし、兵士たちを安全に包み込みながら指示を出す。
「こちらウィッチナイト、目印をくれ!」
彦作の声が焦りを帯びている。
「了解。アルベルト、ウィッチナイトに位置を知らせろ。」レイナが命じる。
「了解。」
アルベルトが設置していた爆弾を起爆させ、轟音とともに爆炎があがる。
「ウィッチナイト、目標を確認。これより爆撃を開始する。」
彦作の冷静な声が無線に響いた。
ドラケンが低空を飛び、敵陣地に向けて爆弾を正確に投下する。爆炎が森全体を赤く染め、轟音が耳をつんざいた。だが、炎が収まった後、6脚支援車両がゆっくりと姿を現した。その外装はほとんど損傷していない。
「まだ動いているぞ……」
私が息を呑む間もなく、支援車両の砲口がヴァルハラ隊を向いた。
次の瞬間、敵の最大火力がヴァルハラ隊に集中する。地響きを伴う爆撃が岩を砕き、周囲の木々を吹き飛ばしていく。
「応戦しろ!押し返せ!」
レイナが鋭い声で命じるが、対戦車ライフルやグレネードランチャーによる攻撃は、分厚い装甲に跳ね返されるばかりだった。
「だめだ、装甲が厚い!」
イェリンが岩陰に身を隠しながら叫ぶ。敵の砲撃が彼のすぐ横をかすめ、砕けた岩が雨のように降り注いだ。
「これはただの支援車両じゃない……制圧用の戦闘車両だ。」
ラッセが狙撃ポイントから冷静に報告する。その声には、状況の厳しさを物語る重みがあった。
「くそ、こんなやつどうやって止めるんだ!」トゥーレが歯噛みするように呟く。
支援車両の火力はさらに増し、ヴァルハラ隊を追い詰めていく。敵は確実にこちらを制圧しようとしていた。森に散開した部隊は、一瞬でも油断すれば致命的な一撃を受けかねない。
「まずいな。第三ポイントまで後退する。」レイナが鋭く指示を飛ばした。
私も無線で続ける。
「ウィッチナイト、部隊が後退する。援護を頼む!」
「了解、援護に入る!」
彦作の声が応答するや否や、彼のドラケンが機銃を放ちながら低空で旋回し、敵の進撃を食い止めようと奮闘する。
しかし、敵の6脚支援機は動きを止めない。その装甲は厚く、機銃の攻撃が効いている様子はない。
「クソッ、装甲が厚い!」彦作が焦りを滲ませながら叫ぶ。
次の瞬間、敵支援機がターゲットをドラケンに切り替えた。火力を一気に集中させ、その砲弾がドラケンの後部に直撃する。
爆音が轟き、ドラケンの尾部から黒煙が激しく上がった。機体が揺れ、彦作の声が無線越しに響く。
「被弾した!」