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第54話 最終防衛ライン

数時間と経たないうちに、瓢六の諜報網がその効果を発揮し始めた。彼の端末には次々とデータが集まり、その中から敵の動きが鮮明に浮かび上がる。


「大型重装甲機兵2体、歩兵8名、6脚支援車両1、ドローン指揮官機1。」


瓢六は正確な情報を淡々と報告する。


部屋の空気が重くなり、緊張が一層高まった。彦作が眉をひそめながら言葉を漏らす。

「強行偵察……か?いや、小隊にしては火力が強すぎる。制圧が目的かもしれないな。」


「敵は待ち伏せを警戒し、慎重に進んでくるでしょう。さらに、この地域の複雑な地形と敵の現在地から推測すると、ここに到着するまで2日ほどです。」


瓢六が冷静に付け加えた。


「2日?あまり時間はないな。」


彦作は短く呟き、腕を組んで思案する。


全員の視線がレイナに集まる。彼女は短く頷くと、すぐに紙とペンを手に取り、必要な武器リストを走り書きしていく。その表情はいつもと変わらない冷静さだが、その目には鋭い光が宿っていた。


「これを。」


レイナはドクターにリストを手渡した。


バレットM82、ジャベリン (Javelin)かスパイク (Spike)、スティンガー、Mk19(グレネードランチャー)、FN MAG、ミニガンM134、ラインメタルMG3、クレイモア地雷、92式対戦車地雷、ECM(電子戦装置)、ドローンジャマー


ドクター・ヴォーンはリストを一瞥し、頷いた。


「手元にいくつかあるが、残りは調達が必要だ。だが、安心しろ。24時間で届けさせる。」


「頼む。」レイナは短く返す。


「ドクター、なぜそんなに早く武器が揃うんですか?」


私の疑問を彦作が口にしてくれた。


ドクター・ヴォーンは軽く笑いながら答えた。


「異星人との接触以降、我々は各地に兵器を備蓄してきた。その準備が、ようやく今役に立とうとしているんだ。」


「なるほどー。」私は納得しつつ声を漏らした。



レイナが地図に目を落としながら言葉を続ける。


「こちらの兵力は17名と……見学者1名。敵の戦力を考えると、やり方次第で十分に渡り合える。待ち伏せ戦術で、装甲機兵の進行ルートを狙うのが最適だろう。」


彼女の指示に従い、作戦の全貌が形作られていく。




作戦内容:


第1目標:指揮官機の撃破

ドローンジャマーで電波妨害を行い、統制を乱す。その隙に携帯式ミサイルで撃破。


第2目標:重装甲機兵の無力化

電波妨害後、対戦車ミサイルと対物ライフルを用いて速やかに撃破。


第3目標:支援歩兵の排除

グレネードランチャーとガトリング銃を使い、支援歩兵を各個撃破。


第4目標:6脚支援車両の排除

航空戦力を活用し、重装甲機兵とともに撃破。ただし、航空機の存在が敵浮遊艦に察知されないよう、彦作は極低空飛行で任務を遂行する。



レイナは敵の進行ルートを指差しながら宣言した。


「敵のルートを考えると、おそらくここへ向かっている。ここが戦場になる。」


「このスーパーマーケットは守りたい。天国だからな。」


彦作が口元に笑みを浮かべながら軽く言った。


その言葉に、レイナが頷きながら応じる。


「ここを最終防衛ラインとする。森と国道を利用して待ち伏せし、敵を迎え撃つ。」

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