§
「……エリシュカ。君との婚約を、破棄しようと考えている」
冷たくも厳かな響きを帯びた王子の声が、静まり返ったサロンに落ちる。
そこは学園内でも特に格式高い応接室で、貴族の子弟が放課後に落ち着いて談話を交わすために用意された部屋だ。
丸テーブルの上には花柄のティーセットが置かれているが、その紅茶はすでに冷めきっていた。
王子──オレグ・アレクサンドル・フォン・シュタウフェンベルクは、その整った容貌に苛立ちをうっすらと浮かべながら、公爵令嬢エリシュカへと告げた。
エリシュカ・イラ・イブラヒムは蜂蜜色の髪をゆるやかに垂らし、瞳には憂いの色も焦燥の色も見えない。
まばたき一つせず、穏やかな口調で応じる。
「婚約を……破棄、ですか」
まるで他人事のようだ。オレグの心にはそれがいっそう癪に障る。
「そうだ。私が言いたいことはそれだけだ。もう君の冷淡な顔は見飽きた」
オレグは拳を軽くテーブルに打ちつけ、キッとエリシュカを睨む。
だがエリシュカは動じることなく、その瞳を静かに伏せる。
「殿下が決められたのであれば、私は従います。……ですが、なぜ急に婚約を破棄する必要があるのか、その理由を伺ってもよろしいでしょうか」
オレグは歯噛みするように唸る。
「理由? 簡単なことだ。君が私を愛していないからだ。いつも事務的に接するだけで、私が求めている“心”を見せてくれたことなどない」
エリシュカは一瞬だけ視線を落とし、再び王子を見つめる。
「……承知いたしました。私は殿下を愛していないわけではありませんが、殿下のご期待に沿う形ではなかったのでしょう。ですが、王家と公爵家を結ぶこの縁は、国全体を支える上で──」
「うるさい! 国のためだの、公爵家の責務だの、君はいつもそうだ。私個人など見ていないくせに、まるで私に敬意だけは払う。その無機質な姿勢が、もう我慢ならんのだ。結局、君が欲しいのは“王家との結びつき”であって、私自身ではないのだからな」
オレグは言葉をぶつけるように吐き捨てる。
エリシュカは俯きかけたまま、硬い表情を崩さない。
「……殿下のお心の内は存じました。私は婚約破棄には反対ではありますが、殿下の意思に抗うつもりはありません。お望みならば……」
そこまで言って、エリシュカは唇を結ぶ。
薄暗い照明が彼女の端正な横顔を照らし、まるでしっとりとした彫像のように見える。
オレグは苛立ちを抑えきれぬまま椅子から立ち上がり、サロンの扉へと向かう。
「……もういい。私の心は変わらん。君との話はこれまでだ」
しんとした空気が残るサロン。
エリシュカはオレグが去った後もしばらく無言で立ち尽くしていた。
──そして、この衝撃的なやり取りの噂はまたたく間に学園中に広がっていく。
§
一方、下級貴族の娘ながら学園内で妙に注目を集めている少女がいた。
シイナ・イラ・カリステ男爵令嬢だ。
(ふーん……エリシュカ様と王子の婚約、破棄かぁ……。じゃあそろそろ "次の段階" なのかな )
シイナはそんな事を考えながら自習室で歴史書を読んでいる。
歴史書など乙女が読むには少々華が無さ過ぎるようにも思えるが、シイナは楽しんで読み進めていた。
なぜならば、
そう、彼女はワケアリだ。
しかもそんじょそこらのワケではない。
彼女には前世の記憶がある。
更にいえば、 "この世界" にも見覚えがあった。
前世で偶然プレイした某乙女ゲームに酷似しているのである。
攻略対象ごとに用意されたストーリー分岐や、華やかな宮廷の駆け引きと恋愛模様。
それらを読み解くうちに感じた高揚が、今まさに現実のものとなっている──そう考えると、自然と頬がほころんでしまう。
当然ながら、この世界はゲームという単語で片づけられるほど単純ではない。
だが、彼女の中には「大筋はゲームのシナリオに沿って進むはず」という一種の確信めいた期待があった。
それゆえ、歴史書を読む行為も、単なる学習ではなく "舞台設定" の裏を知るための作業と捉えているのだ。
いわばサブクエストの背景資料を漁るような感覚に近い。
( 私はこれまで、"主人公"がしてきたように行動をしてきた。 ファーストコンタクトはまず次の授業に遅れそうだと廊下を走って、それでオレグ様にぶつかって。取り巻きに責められたら平謝りして。オレグ様がそれをとりなしてくださり、それから──)
貴族の娘らしからぬ自身の行動、それがオレグにどう映るのかをシイナは良く知っている。
更に──
(オレグ様は私の事がどんどん気になっていっているわね。この前なんて、もし私が婚約者だったら、なんて考えてたわ)
シイナはまるでオレグの
§
エリシュカはオレグとの一件を受け、公爵家と王家との間でどのように動くべきかを淡々と検討していた。
突然の婚約破棄の予告ではあるが、エリシュカは動じることなく必要な手回しを進めている。
オレグの心がエリシュカにない事をしっても、彼女にショックは無かった。
というのも、エリシュカは別にオレグの事が好きではないからだ。
かといって別に嫌っているというわけでもないのだが。
エリシュカは恋とは何か、愛とは何か、そういうものが良く分からない。
言葉としては知っている。
だが、彼女は
人を、操るための。
その様に考えるように教育を受けてきたのだ──上級貴族の令嬢として。
ともあれ、エリシュカはこの婚姻を公爵家と王家との繋がりをより強固なものとするためと割り切っていた。
だから相手──オレグがどうしても婚姻したくないとあればそれを受けるにやぶさかではない。
(元より王家から持ちかけてきた話でもありますし)
しかし、そうするにせよ公爵家の有責では困る。
(冷たいだとか愛していない様に見えるだとか、そういう感情的な理由だけでの婚約破棄でもまあ構わないのですけれど)
それだけなら単に王家側がこの婚姻が意味する所を理解していないという愚を晒すだけに終わる。
つまり公爵家には責はない──が。
エリシュカとしては何かもう一押し欲しかった。
というのも、表向き王家の有責だったとしても、婚約者としての在り方はどうなのかというケチがついてしまう可能性があるからだ。
「やっぱり、
エリシュカの脳裏に一人の少女の姿が描かれた。
・
・
・
エリシュカにとってシイナ・イラ・カリステ男爵令嬢は奇妙な少女だった。
貴族令嬢としての嗜みなどはまるでない、知も礼も欠いている不出来な少女だ。
通常、そういった無作法な者は排斥されるというのが通例である。
しかしシイナは立ち居振る舞いは妙を得ていた。
彼女と会話をした者は大抵彼女の事を気に入るようになるのだ。
あれをしてほしいこれをしてほしい、こんな事を言って欲しいあんなことは言ってほしくない──人間関係にはそういった要点がいくつも存在するが、シイナはこれを外さない。
エリシュカは、学園の廊下を歩くたびにシイナの名を耳にするようになった。
シイナには誰の心にも違和感なく寄り添う不思議な魅力がある。
だというのに、それがまるで計算ずくの行動であるかのような、妙な“狙い”を感じずにはいられない。
(ただ、その狙いというのも……ねぇ)
そこには狡猾さや貪欲さというより、“何かに熱中している子供”の純粋さが感じられる。
結局、「良く分からない少女」という評価になってしまう。
(やっぱり直接話してみましょうか)
そう考えたエリシュカは、ある日、シイナをサロンへ呼び出した。
§
エリシュカはサロンの中央で立ったまま、柔らかく微笑していた。
王子との婚約を破棄されかけたという暗い影など微塵も感じられない。
そして、その前に緊張しながら立ち尽くしているのはシイナである。
「呼び出してごめんなさいね。……座ってくれる?」
エリシュカは、サロンの端に用意された椅子をシイナへと勧める。
その声音は優しく、包容力すら感じさせるものだ。
(何の用事だろう……王子様関係かな? でも、だとしたら少しは私に思う所がある筈だし……)
シイナが視るエリシュカの心には、ちょっとした好奇心こそ垣間見えるものの、それ以上のものは何もない。
これは最初からそうなのだ。
シイナがオレグに近づいてもエリシュカは何とも思っていなかった。
だからこそシイナは王子へのアプローチを繰り返すことに大きな不安を抱かなかった。
「え……あ、はい。失礼します」
シイナは落ち着かない様子で椅子に腰を下ろす。
「……お茶、どう? まだ温かいはずよ。好きじゃなければ、無理に飲まなくても構わないけれど」
エリシュカは愛想よくカップを指先で示す。
「ありがとうございます……」
そういってシイナがカップに手を伸ばすと──
「あなた、
なぜ? ──とエリシュカはシイナを凝視する。
シイナは不意に、キリキリキリ、と空気が
§
「あなたの立場からすれば、
エリシュカは柔らかく微笑みながら続ける。
「ああ、そんなに緊張しないで。ちょっと気になっただけなの──気軽な質問といった所ね」
嘘だ、とシイナは思った。
(今、この女は、私を、私を……)
──
シイナはごくりと息を呑む。
実際、公爵家の力ならばしがない男爵家など家ごとまとめて潰す事など造作もない。
(なんて答えるか考えなさい、私……じゃないと本当に殺される。私だけじゃない、お父様も、お母さまも、皆、みんな……)
どろつき、ねばつき、底冷えするようなエリシュカの殺意の
まるで今日の昼食は何を食べようかしら、と言った風情で人の生き死にを決めてしまう貴族というイキモノ。
ここへきてようやくシイナは "この世界" のリアリティを感じ──腹を括った。
「……私には、ちょっと、変わった“体質”があって。人の心を、なんとなく“視る”ことができるんです」
一瞬、エリシュカの動きが止まる。
まばたきすら忘れたように、シイナを見つめる瞳が吸い込むような深度を帯びる。
「人の心を……視る?」
「はい。……生まれつきというか……」
言葉を選びながら、シイナは自分の秘密を打ち明けた。
これは賭けだった。
誰しも心を読まれて良い気分がする者などいないだろう。
エリシュカがシイナの体質を危険視して、処断の判断を下せばそれで一巻の終わりである。
しかしそれでもシイナは正直に打ち明ける事にした。
なぜならば──
(多分、能力とかそういうものじゃなくて、この人はその気になれば他人の心を推察することができるんだ)
そう思ったからである。
エリシュカはしばらく沈黙したままなにやら考えている様子だ。
しん……とした静寂がサロンに降りる。
その間、シイナの鼓動はうるさいほどの音を立てていた。
「……なるほどね。あなた、だから
エリシュカは納得したように呟き、再び視線をシイナの顔に戻す。
まるで“壊れた玩具を修理するか、それとも捨てるか”を考えるような、そんな視線だった。
シイナはまるで死刑執行を待つ罪人のような心地で、エリシュカの言葉を待つ。
そんな意図すら察知しかねない、貴族の凄味のようなものをシイナは既に味わっている。
ややあって、エリシュカはシイナに尋ねた。
「あなたは、公爵家に対して思うところがあるの?」
シイナは両手をきつく握りしめて、小さく首を振った。
「いえ、なにも! ……この体質に気づいてから、何を言っても、何をしても上手くいくものだから……調子に乗ってしまっただけなんです」
言い訳がましいが、これがシイナの本心でもある。
誰かを害したいわけじゃない。
ただ、人の心が読めることで便利すぎる世界が広がり、ゲーム感覚で“もっと楽しめる”と錯覚しただけなのだ。
「そういう遊びは早死にするわよ。……まあ、すでにその瀬戸際に立っているようだけど」
エリシュカは苦笑めかした表情を浮かべる。
そこに先ほどまでの刺すような空気はない。
シイナはそれを察して、ほっと胸をなで下ろす。
確かに、今この瞬間までエリシュカは本気で潰すかどうかを考えていたが、“この能力が単なる遊びの産物に過ぎない”とわかったことで、一歩引いたようだ。
それまで肌にまとわりついていた不穏な空気が、嘘のように消えていく。
シイナはその急激な変化に頭が追いつかず、呆然としてしまう。
恐怖が抜けたところには、疲れがどっと押し寄せるばかりだった。
「あなたは殿下のことが好きなの?」
エリシュカはあっさりと尋ねる。
シイナは首を振った。
王子はゲームの攻略対象として気になる存在ではあるが、恋愛の情熱などはないのだ。
「そう。それなら殿下と結ばれなくとも構わない、これ以上近づくようなことはしないということなのかしら」
シイナはコクリと頷いた。
「も、もちろんです。……それで、許してくださるんでしょうか」
視線を伏せたまま問いかけるシイナ。
この場が解決しないなら、家族もろとも消されるかもしれないという恐怖が、まだ完全には拭えない。
エリシュカはわずかに口元をほころばせて「あなたなら分かるのでしょう?」と返す。
その瞬間シイナはエリシュカの心の中に、まだ淡く漂う暗影を視る。
先ほどのような厄の粒子が集まったかの様な暗雲は大分薄れたが、完全に取り去られたわけではないらしい。
「……何を、すれば良いのですか」
シイナは深いため息をつきながら質問する。
エリシュカは薄い笑みを浮かべて答えた。
「賢い子は好きよ。……そうねえ……あなた、王国の外交官になってみない?」
突拍子もない提案に、シイナは目を見開く。
「外交官……ですか?」
エリシュカはうなずく。
「ええ。あなたのその体質は公爵家のためにひいては王国の為に使い道があるわ」」
先ほどまでの殺意じみた空気は消え去ったように思える。
けれどシイナにはわかる。
消えたというより、エリシュカがそれをとりあえず棚上げしているだけなのだ。
(つまり、外交官として“利用価値”があると見なされたら、私は無事でいられるの……?)
混乱しつつも、シイナはうなずき返すしかない。
公爵家のために働くのか、それが嫌なら身の破滅が待っている。
となれば、答えは決まっていた。
シイナは完全に理解したのだ──この世界はうんざりするほどリアルで、そして自分は主人公ではなくモブなのだと。
§
数日後。
シイナは夕刻の回廊で足を止めた。
窓から差し込む斜陽が、彼女の緊張した横顔を照らしている。
その視線の先には王子──オレグ・アレクサンドル・フォン・シュタウフェンベルクが立っていた。
いつになく真剣な面持ちだ。
「シイナ……少し話がしたい。君に伝えなければならないことがある」
周囲の気配を気にするように辺りを見渡してから、オレグは低い声で続ける。
シイナは咄嗟に胸が高鳴るのを感じながら、頷いて一歩近づいた。
呼び出しを受けたわけではないが、オレグはわざわざ彼女の行く手を遮るように現れたのだ。
これが何を意味するか、彼女なりに察していた。
「……シイナ。私は、君と過ごす時間が心地よくて仕方ない。君を見ていると、どうしようもなく惹かれてしまうんだ」
そう呟くオレグの声には普段の尊大さの影も形もない。
「エリシュカとの婚約は破棄しようとおもっている……なぜなら、 "真実の愛" を君に見出したからだ 」
オレグは熱を帯びたまなざしをシイナに向けた。
シイナはなんとも言えない息苦しさを覚えながら、意を決して口を開いた。
「殿下……わたしは、その……。実は王家からの“監視”のような役目で、この学園に来ているんです」
無論嘘である。
そういうようにエリシュカから言いつかったのだ。
「監視、だと? 君が?」
驚きに目を見開くオレグ。
シイナはかすかに声を震わせながら言葉を続ける。
「はい……。王家はエリシュカ様と殿下との婚姻を非常に重く考えています。だからこそ殿下が婚約者をないがしろにしたりする兆候などがあれば、逐一報告しろと……」
オレグは言葉もない様だ。
「だから、わたしは王家から、殿下を“見守り”ながら、危ういときは報告するように言われていたんです。もし殿下が婚約を勝手に破棄してしまうなら、廃嫡の危険だってあるのです」
オレグは呆然と聞き入る。
そんな話はまったく寝耳に水だったのだろう。
「……そんな……。私はただ、エリシュカが私を愛してくれないと思って、不満で……」
オレグの声には焦燥と動揺が混ざる。
このまま突っ走れば王家の意向を無視した愚行だと見なされ、取り返しのつかない事態を招くかもしれない。
「お願いです、殿下。もう一度エリシュカ様とちゃんと話し合ってください。……殿下は今、衝動で動いているだけに見えます。エリシュカ様も殿下を愛していないわけではないんです」
そう言ってシイナは、こうして自身が監視役だと明かしてオレグが王太子としての立場の瀬戸際にある事を知らせたのはエリシュカの意向だと伝えた。
「エリシュカが……? なぜ、そんな事を……」
「エリシュカ様が殿下を愛しているからではないでしょうか? ただ、普段はそれを表に出す事ができないだけなのでしょう」
「どういう意味だ?」
「もとより貴族というものは情に流されてはいけない立場にあります。家の事、国の事──それらは家族より優先しなければなりません。それが貴族というもので……」
でも、とシイナは続ける。
「それでも、愛がないわけではないのです。でなければ、こうして殿下に事の仔細を知らせろなどと言うでしょうか。それは王家の意向に反する事です。エリシュカ様は王家からの反感を恐れずにそうした……それは、とりもなおさず殿下に対する愛がゆえなのではないでしょうか」
シイナの話を黙って聞いていたオレグは「そうか……」と言って顔を伏せた。
ややあって、オレグは静かにうなずく。
「……わかった。君がそこまで言うのなら、私も考え直そう。エリシュカの態度が事務的だったのは、もしかしたら私への配慮だったのかもしれない」
シイナはほっと息をつく。
これを聞いて、王子が再度エリシュカと向き合えば婚約破棄の話は立ち消えになるだろう。
この時、シイナはオレグの心中にエリシュカへの想いが芽生えるのを視た。
そうして二人は別れ、オレグは婚約を破棄するのではなく、エリシュカにもう一度謝罪する道を選んだ。
そして──
§
周囲からの祝福を受けて二人は正式に結婚した。
オレグとしては、エリシュカの奥にある心を知ったことが大きい。
自身が知る愛の形が全てではないとオレグが理解したとき、彼の中からはかつての苛立ちは嘘のように消えてしまった。
ではエリシュカのほうはどうか。
・
・
・
ある日の夜。
夜半、水を飲みに立ったエリシュカは喉を潤した後すぐには床へと戻らず、眠ているオレグの寝顔をじっと見つめていた。
暗い室内をかすかな月明かりが照らし、その光がオレグの穏やかな横顔を白く浮かび上がらせる。
エリシュカはまるで珍しい標本を観察する様な視線をオレグに注いでいる。
温かくも冷たくもない、乾いた視線だ。
ややあって、その視線はほんのわずかに柔らかさを帯びた。
エリシュカは躊躇いがちに手を伸ばし、オレグの頬をそっと撫でる。
しかし手が離れた数瞬後──エリシュカの瞳はすぐに色を失い、いつもの無機質なそれへと戻っていった。
(了)