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第4話 出身

 武器調達や、自身の能力の把握に手間取り出発する予定日がずれ込んでいた。


 その間にでも、俺はメンバー内でコミュニケーションを取る事にした。何かあった時、お互いを知っとけば後々活かせる場面が出てくると思うから。


 ファリアはこの城下町のスラム街で育ったという。鳥羽族だが、周りにそんな子が居なかったのでいじめられたりしたようだ。


 オカマは頑なに出生を明かそうとしなかった。ここで無理に聞き出しても良くないので、これ以上は聞かなかった。


 ファリアは風魔法が得意だと言う。実際、上級魔法サイクロンは周囲一帯を吹き飛ばすような威力を持っている。


 さらに彼女は精霊召喚も出来るらしい。この数日、使ってるところは見たことないが、いずれ見る機会はあるだろう。


 オカマはステゴロで勝負するタイプの様だ。良くも悪くもステゴロで勝負するタイプだとしか言えない。


 オカマの底がしれない様はなんなのだろう。どこか信用されてない感じというか、不気味というか。


 ファリアとは、短期間で打ち解けた。


 あとはオカマだけ。オカマとは俺が異世界に渡ってきた日以来、気まずい関係だからなぁ。


 オカマの信用を得るには、粘り強くコミュニケーション取っていくしかないだろうか。


「勇者様、大量の塩なんて買ってなにに使うんです?」


「これか? 雷魔法と水魔法で面白い組み合わせを思いついてな。仮にモンスターにも効いたらメインウェポンになるかもしれないぞ! とりあえずファリアに預けとっていい?」


「ええっ。いいですけど、大量の塩なんてなんに使うのかだけ教えてください!」


「んじゃ、ファリアさんだけ特別に教えよう!」



        ◇



「勇者オオモリ! 貴様をマカオ強姦未遂事件で逮捕する!」


「……えっ?」



◇んで、『鳥羽族 ファリア』最後に繋がる。



 いや、振り返ってもオカマを襲った事実は無い! そんな趣味も無い!


 昨日の夜だって、普通に宿に帰って、普通にみんなと異世界のご飯食べて、普通に一人のベットで就寝したのに。


 ていうかあんな2メートルもあるような巨漢にして筋肉ゴリラ、普通に考えて襲えるわけないだろ!


「とにかくオカマを呼んでくれ! そしたら話もスムーズに!」


「どこの世界に加害者と被害者を会わせる憲兵団がいると言うのだね」


「貴様が何しでかしたか分かっているのか! 貴様は、勇者を任命した王様の顔に泥を塗ったのだぞ!」


「貴様は即刻、裁判に連れていく。どうせ即日公開処刑だろうがな」


 こうして俺は何が何だか分からないまま、裁判にかけられることとなった。


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