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あの夏のソフトボール
あの夏のソフトボール
黒鯛の刺身
文芸・その他雑文・エッセイ
2025年01月23日
公開日
400字
完結済
昭和の夏も暑かったよね。
今よりははるかにマシだけれども。
そんな昔の思い出。

第1話

 未だ年号が昭和の頃。

 夏になれば空き地から子供たちの歓声が響く。


 そう、我が郷里には子供がワンサカいたのだ。

 私もその一人。


 毎年、夏休みの終わりになると町内会対抗のソフトボール大会がある。

 よって、そのための練習が1か月くらいあるのだ。

 ちなみに、4年生以上の男子は全員強制参加だった。


 夏休みの16時になると、毎日近くの空き地で練習である。

 仕事をしてなさそうな謎のオッチャンが指導員。


 町内の男子は、一学年がゆうに10名を超える。

 ソフトボールは9人でやるゲームなので、ほとんどが球拾い&補欠。

 私も3年間補欠だったが、周りも皆補欠なのだ。

 特に劣等感は無かった。


 ……というか暑い。

 貸与されたユニフォームは長袖長ズボン。

 半端なく暑い。



――あれから30余年が過ぎ去り。


 我が郷里は過疎になった。

 人が大量に減り、その代わりにクマが出没するようになった為、クマ鈴をつける子供たち。


 もう空き地から、あの賑やかな歓声は聞こえない。

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