未だ年号が昭和の頃。
夏になれば空き地から子供たちの歓声が響く。
そう、我が郷里には子供がワンサカいたのだ。
私もその一人。
毎年、夏休みの終わりになると町内会対抗のソフトボール大会がある。
よって、そのための練習が1か月くらいあるのだ。
ちなみに、4年生以上の男子は全員強制参加だった。
夏休みの16時になると、毎日近くの空き地で練習である。
仕事をしてなさそうな謎のオッチャンが指導員。
町内の男子は、一学年がゆうに10名を超える。
ソフトボールは9人でやるゲームなので、ほとんどが球拾い&補欠。
私も3年間補欠だったが、周りも皆補欠なのだ。
特に劣等感は無かった。
……というか暑い。
貸与されたユニフォームは長袖長ズボン。
半端なく暑い。
――あれから30余年が過ぎ去り。
我が郷里は過疎になった。
人が大量に減り、その代わりにクマが出没するようになった為、クマ鈴をつける子供たち。
もう空き地から、あの賑やかな歓声は聞こえない。