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悪夢にゆられて◇5

「おーいお嬢ちゃん起きろ」



「はやく起きないと、この変態にセクハラされるけどいいの」



「なんで疑問系じゃないの?! おっさん泣くよ?」



「勝手に泣け」




 いつの間にか少年とおじさんが目の前に立っている。また例の言い争いを始めたが、もう慣れてしまったが。気弱そうな女の人が窓の外を指さした。




「あの、とても綺麗な花火が見えるんです」



「わあっ……」




 車窓の外は、瑠璃の花が大きく花開いて散っていく。ほんの一瞬、狭間の。それがいくつも咲いて、また散って――。





 みんなで花火をみる。



 夢の中だから、夢花火を。





 どこからかまたあのくじらの歌が流れてきた。




 くじらの歌とともに夜明けを迎え、断片的に残った真夏の夢と、星屑サイダーのあまさがまだ口の中に残っている。



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