週初めの月曜、今朝もわたしは店長PCで一週間の予約を確認。
今週の店長指名は……明日以降三名様か。女子るのは明日でいいかな。
と思っていると、チーフが飛び込んでくる。
「てんちょ〜 今日って何の日だか知ってますか〜?」
チーフが『てんちょ〜』と言い出すとろくな事が起こらないのはいつもの事だが……。
「2月2日……にゃ〜にゃ〜で猫の日?」
「ブッブー! 猫の日はにゃ〜にゃ〜にゃ〜の2月22日で〜す! 2月2日は、ツインの『2』が重なる日なんで、ツインテールの日なんですよぉ〜? 知らなかったんですかぁ〜?」
「ぜんぜん知らん」
「これだからフツメン中年は……」
「うっさい!」
「ツインテールの日は、日本記念日協会に認定・登録された由緒正しい日なんですよ!」
「はぁ……? で?」
「店長指名があるのは……明日ですねぇ?」
チーフが店長PCの予約表を覗き込む。
「こらこら!」
「ねぇねぇ、てんちょ〜 せっかくのツインテールの日なんですから、今日からツインテにしちゃいましょうよ!」
「えっ! このオレをもっと可愛くしろと?!」
「店長、自意識過剰……」
*
「うっ! か、かわいい」
「や、やめんか」
「いつものポニテもいいけど、たまにツインテにすると可愛さ倍増ですね! リボン大きめにして、いつもの黒じゃつまんないから……ピンクにして……ん〜なんか足りない……。やっぱりツインテにはセーラー服! なんだけどお店にはないし……ん〜もう少し高めに結ぼうかな……これでよしっ!」
チーフはこうなると、とことんこだわり、早口になる。
「コーデはもういっそのこと、少し幼めのピンク系でフリフリでロリロリにしちゃいましょう!」
おいおい、そんな服、お店にあったか? そのうちほんとにセーラー服まで揃えるんじゃ……?
「はぁ〜金髪とピンクのマリアージュ……わたしながらベストコーデだわぁ」
もう全てをチーフに任せ、チーフの着せかえ人形化することにした……。
「に、2月22日には猫耳なんて、ずぅぇったいに付けてやらないからな!」
「てんちょ〜 今、フラグ立てましたねぇ〜」
「……」