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第9話 ツインテ?

 週初めの月曜、今朝もわたしは店長PCで一週間の予約を確認。

 今週の店長指名は……明日以降三名様か。女子るのは明日でいいかな。


 と思っていると、チーフが飛び込んでくる。

「てんちょ〜 今日って何の日だか知ってますか〜?」

 チーフが『てんちょ〜』と言い出すとろくな事が起こらないのはいつもの事だが……。


「2月2日……にゃ〜にゃ〜で猫の日?」

「ブッブー! 猫の日はにゃ〜にゃ〜にゃ〜の2月22日で〜す! 2月2日は、ツインの『2』が重なる日なんで、ツインテールの日なんですよぉ〜? 知らなかったんですかぁ〜?」

「ぜんぜん知らん」

「これだからフツメン中年は……」

「うっさい!」

「ツインテールの日は、日本記念日協会に認定・登録された由緒正しい日なんですよ!」

「はぁ……? で?」

「店長指名があるのは……明日ですねぇ?」

 チーフが店長PCの予約表を覗き込む。

「こらこら!」

「ねぇねぇ、てんちょ〜 せっかくのツインテールの日なんですから、今日からツインテにしちゃいましょうよ!」

「えっ! このオレをもっと可愛くしろと?!」

「店長、自意識過剰……」


 *


「うっ! か、かわいい」

「や、やめんか」

「いつものポニテもいいけど、たまにツインテにすると可愛さ倍増ですね! リボン大きめにして、いつもの黒じゃつまんないから……ピンクにして……ん〜なんか足りない……。やっぱりツインテにはセーラー服! なんだけどお店にはないし……ん〜もう少し高めに結ぼうかな……これでよしっ!」

 チーフはこうなると、とことんこだわり、早口になる。


「コーデはもういっそのこと、少し幼めのピンク系でフリフリでロリロリにしちゃいましょう!」

 おいおい、そんな服、お店にあったか? そのうちほんとにセーラー服まで揃えるんじゃ……?

「はぁ〜金髪とピンクのマリアージュ……わたしながらベストコーデだわぁ」


 もう全てをチーフに任せ、チーフの着せかえ人形化することにした……。

「に、2月22日には猫耳なんて、ずぅぇったいに付けてやらないからな!」

「てんちょ〜 今、フラグ立てましたねぇ〜」

「……」

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