「ハァ…ハァ…」
「黒金…お前…」
膝に手をつき必死に息をする俺に健司は叫ぶ。
「お前…!ランニングコースに
それは…俺の体力がないからだろう?
体力ステータスマイナスに極振りした人間が、体力にステータス極振りしてる人間についていけるわけなかったのだ。
「なんでランニングコースまで歩いて
「準備運動さ!」
「こちとらへとへとだっつぅの…」
俺は近くの公園のベンチに腰掛ける。
「悪い、今日はついていけそうにねぇ」
「まぁ黒金は骨折治ったばっかだもんな…今度は足骨折とかになったら俺がお前の担当にキレられるからなぁ…仕方ない、今日はここで待ってろ」
「はいよ」
俺の返事を聞くと健司は一人でランニングコースを走っていった。
(しばらく休憩…ほんとダメだなぁ)
地震の体力の無さに悪態をつきながらも俺は水を喉に流し込む。
冷たい水が全身を冷やす感覚がする。
「ふぅ…ん?」
ふと公園を見ると人が倒れていた。
人が倒れていた!?
「大丈夫ですか!?」
慌ててベンチから立ち上がり近寄ると倒れている女性。学生だろうか?
が、小さく「水を…」
というのでとっさに持っていた水を手渡す。
手渡されたペットボトルをひったくるような勢いでつかむ女性はすぐさまそれを飲み始める。
「ぷはぁ…助かりました、ありがとう…ございました」
手渡された空っぽのペットボトル。結構な量残っていたはずだがすべて飲んでしまったらしい。
「もう大丈夫ですので…おっと…」
立ち上がろうとしたのだろうがバランスを崩して転倒しそうになる女性。
「あの…あそこにベンチあるので少し休んでください。このままだとまた倒れますよ?」
「…はい…」
(気まずい)
現状を説明しよう。
さっきまで倒れていた女性をベンチまで案内し、女性はベンチに座った。
で、俺もベンチに座っている。
(何で?)
さっきまでいた場所に戻るというコマンドを実行した結果なのだが…
お互い無言でベンチに座っているだけでは空気が重い。
「えっと…学生さんですか?」
「あ…はい」
「………」
(早く帰ってきてくれ!健司!!)
コミュ障の俺にはこれが限界だった。
そもそも小説家たるもの自分の想像を形にするもの!
自分の考えを主張してこその独自性!
他人に合わせる
会話苦手なのは俺だけじゃないはず!
「あれ?黒金…その子誰?」
(かえってきた!てか早!?確かここのコース5キロあったよな?)
「えっとこの子は…さっき倒れてて」
「あ…はい。私、
「へぇ~大丈夫だった?」
「はい…えっと、この人に助けていただいたので」
そんな会話を健司は茜と名乗った女性と続ける。
(会話苦手のは…俺だけじゃ…)
「ああ…こいつは黒金、黒金昭英。で、俺は佐々浦健司。よろしくな!茜さん」
「よろしくお願いします…」
「あ…うん。俺は飲み物買ってくる」
そう言い残し俺はそそくさとその空間から逃げるのだった。