さて…なぜ俺。
わかりやすく言えば、
小説家というジョブを選んだ俺にはどうやら筋力スキルがマイナスを割ってしまったらしい。
簡潔に言おう…
【キーボードをたたいたら骨折した】
うん…何を言っているかわからないだろう。安心しろ…俺もわからん。
事情を説明した担当編集も「は?」と言っていたしおそらくわかるのは診察した担当医ぐらいだろう。
「いやキーボードで骨折はわかりませんね…もう少し筋力付けていきましょう」
わからなかったらしい。
じゃあ誰もわからんじゃん…
と心の中で吐き捨て病院を後にした。
・
・
・
「で…そろそろ聞いていいかな…?」
「…ハイ」
「
「それ俺も知りたいです」
切実に…
考えられる原因とすれば日々の運動不足…しかないよな。
「少しは運動してください!!」
「いや~でも
「知ってますよ!でも骨折よりましです!」
出版社本社の個室。俺の対面に座っているのは
俺がデビューしたのは高校3年…18歳の時だ。
デビューと言ってもネットに趣味で小説を投稿、その小説を見た神崎さんがDMで担当になりたいと言ってきたのだ。
それから俺は小説を磨き、神崎さんは有名出版社の編集者になり、俺を担当することになった。
「俺に運動をしろと?…それ死ねって言ってるようなものですよ」
「あああああ~もう!ほんとに体力無いですよね!」
「俺は1週間を通して歩いた歩数300歩未満だ!」
「ドヤる事じゃないですよそれ」
ハァ…と神崎氏はため息をつくと俺に言った。
「もう今年で21でしょ?引きこもってちゃ彼女さんとかもできないでしょ」
「殴りますよ?」
俺に彼女いじりという禁術を使った神崎氏。だが俺の反応に神崎氏は即答する。
「殴りたいのはこっちのほうです。原稿入稿…いつまで待たせるんですか?」
あ…スゥー…
「すいませんっしたあああああ!!」
机に頭をたたきつけ叫ぶ俺。それを満面の笑み(に見えるが影がある表情)で見下ろす担当編集。
ぶっちゃけどの作家にも共通することが言える。
それすなわち「担当編集に頭が上がらない」だ。
「早くその骨折なおして原稿よこしてくださいよね」
「ハイ!早くレベ上げして筋力メーター伸ばしてきます!!」
「よろしい」
そんなやり取りがあったのち、俺は出版社の個室という名の