いつから此処にこうして
いつからこの女に傅き、この腕を、この暗黒の剣を以って守り続けているのか記憶にない
我に有るのはこの女への忠誠と全き隷従
いつ如何なる刻も付き従い
いつ如何なる処にも付き従う
影のように
風のように
死のように
女に近づくあらゆる者を切り裂き、辱め、跡形もなく消滅させる
我の名は?
覚えていない
我は誰ぞ?
記憶にない
在るのはこの女を抱いた記憶
その白き肌が恥じらいの朱に染まり
柔らかな熱い身体をこの腕にかき抱き
思いのたけを込めた愛の印を女の中に注いだ
しかしそれは何時のことか?
つい昨日のようでもあり
永劫の彼方の思い出のようでもあり
いつか見た夢の中の出来事のようでもある
もしかしたら、未だに夢を見ているのかもしれない
我を焦がす情欲の炎は、この身を覆う漆黒の鎧に吸い取られ、決して表に現れることはない
我が胸で燃え盛る紅蓮の焔を知る者は誰もいない
我が在るのはこの女のため
この女を守るが我の定め
緋色の想いを漆黒で隠し
暗黒の剣を振るい敵を朱に染める
今日も
明日も
幾星霜の時を超え
未来永劫、殺戮の愛を捧げ
たとえ時が果てようとも
この女が在るかぎり
我も此処に在る