坂本真理は、事件解決のための最後のピースを手に入れようとしていた。オクトが持っていた予知能力、そして光のパターンに関する彼女の解析が間違っていなかったことを確信した坂本は、犯人が使った装置の詳細を調査するため、再び現場へ足を運んだ。
犯人の痕跡
坂本は現場の状況を再確認していた。先に見つけた装置は、ただの光のパターンを作り出すためのものではない。装置は、オクトが反応する特定の周波数を発する機能を持っていたのだ。つまり、犯人はオクトを操作するために、それを利用していた。
しかし、装置は単純な光の点滅を作り出すものではなかった。坂本は冷静にその装置の回路と配線を調べ、ふと気づく。装置には、何らかの通信機能が搭載されていることに。もしかしたら、装置は単なる道具ではなく、犯人がオクトを操るための遠隔装置であり、また別のデバイスに信号を送る仕組みがあったのだ。
坂本はこれを警察に伝え、鑑識班に協力を求めた。彼女は、犯人が遠隔でオクトを操作していた証拠を掴むため、装置から発信された通信の履歴を追うように指示した。現場に設置されていた複数の監視カメラの映像にも注目し、どこからの信号が発信されていたのかを追うことにした。
証拠の連鎖
警察の捜査は迅速に進んだ。坂本の指示通り、鑑識班は装置の解析を進め、ついに犯人の通信履歴が判明する。それは、研究所内の一部の部屋から発信されていたもので、明らかに外部と連携して操作していたことが分かった。
「つまり、犯人は内部の関係者であり、オクトの動きを遠隔で操っていた可能性が高いということです。」坂本は鑑識の担当者に伝える。
坂本の推理通り、犯人がその装置を使っていたのは、オクトの反応を利用して自分の意図を達成しようとしていたからだった。彼の目的は、研究データを盗み出し、秘密の実験を進めるためだった。
坂本は、犯人の正体を突き止めるため、もう一度資料室に戻り、研究所内の関係者を調べ直すことに決めた。彼女の目は、ついにある人物に向かう。事件が始まった当初から、どこか怪しいと感じていた人物だ。
事件の核心に迫る
坂本は再びその人物との接触を試みた。彼女の直感は間違っていなかった。犯人は、事件当初から研究所内で目立つことなく動き回っていたが、その動きには一貫した計画性があった。
犯人は、研究所内の他のスタッフが気づかないようにオクトを操作し、光のパターンを使ってオクトを導いていた。しかし、坂本がオクトの行動パターンを正確に読み取ったことで、犯人の計画は崩れ去った。そして、ついに坂本は、その人物が過去に行った不正行為や研究データの盗みを証明する証拠を掴むことができた。
その人物が、元々オクトを利用して不正な実験を行っていたことが判明し、坂本はその真実を警察に伝える。
逮捕の瞬間
坂本が証拠を握り、犯人が動かなくなる瞬間が訪れた。警察は迅速に捜査を終結させ、ついに犯人を逮捕することに成功する。坂本はその様子を、冷静に見守っていた。
「これで、オクトも無事だろう。」坂本は静かに呟いた。彼女の手の中には、オクトが示した予知の証が握られていた。彼女が手にしたもの、それは単なる研究の成果ではなく、動物と人間の関わり方についての新たな認識をもたらす重要な証拠だった。
事件の解決と共に、坂本は今後の研究に向けて新たな目標を見つける決意を固めた。オクトのような生き物が持つ可能性を、これからの科学でどこまで解き明かすことができるのか、それが彼女の新たな探求の始まりだった。