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31 王ラスキンと神の御使い_10

   *          *


「陛下は私のスキルを知って、今後どうされるおつもりでございますか?」


 ハルコンは率直にお訊ねした。

 この訊ね方は、国の最高権力者に対しいささか不躾ではないかと思われた。だが、ギリギリの線を付いてこられる陛下に無抵抗なのも、同様にマズいと思ったのだ。


 すると、陛下は一瞬目をきょとんとされた。それからニカリとお笑いになり、こう仰られたのだ。


「ほぅ。ハルコン殿は年相応ではないと前々から思っておったが、どうやら、『転生者』であらせられたようだな!」


 えっ!? 「転生者」って言葉、この世界にあるの!?


「陛下、……それは一体、……」


「なるほどのぅ、……それで全て合点がいった。ハルコン殿が『神の御使い』であらせられるところから、我は最初からそう判断すべきだったのだな。はっはっはっ」


 そう仰って、陛下はお笑いになる。

 ならば、こちらからも問わざるを得まい。


「陛下、『転生者』とは、何者なのでございますか?」


「それは、……キミのような存在のことだろ? 異なる時代、異なる世界から我のいるファルコニアと呼ばれるこの世界に辿り着いた者達を、我々は『転生者』と呼ぶのさ!」


「!?」


 えっ!? どういうこと?

 まさか、これまでにも「転生者」って存在したっていうことなの?


「ハルコン殿、そう驚かれるな! むしろ、いつでも冷静沈着な少年が、ちゃんと年相応に驚くことができると知って、我は嬉しいのだぞ!」


 そう仰ってニヤリとお笑いになるので、ハルコンもテヘヘ、……と笑顔を浮かべた。


 それからハルコンは、陛下からこの国の建国以来出現した、数名の「転生者」についてお話を伺った。

 その者達は、このファイルド国の転機に際してふらりと現れて、様々な活躍をするのだという。


 歴代の王は、その都度「転生者」達を王族に取り入れ、優秀な血を受け継いできたそうだ。


「……、というワケでだな、ハルコン殿。キミには大いに期待しているのだよ。今後とも、シルファーと仲良くやって頂けるかね?」


 陛下はそう仰って、娘の父親らしくニカリとお笑いになられた。

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