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「急に呼び出してすまんな、『神の御使い』殿! キミにお訊ねしたいことが、いくつかあってな!」
「はい、どちらからお答えいたしましょう? 陛下!」
ハルコンは、これまでサシでラスキン国王陛下と話をしたことがない。
陛下と私以外、誰もいない室内。
偉丈夫の陛下が、じっと私の目を見つめてこられるのだから、かなり緊張する。
「ハルコン殿。キミはコリンドの姫君について、どの程度知っておるかね?」
「永らく、……病を患っていたと伺っております」
そもそも、私は現地にいったことがない。
本来なら、それ以上は言葉に窮する質問だとハルコンは思った。
「何も隠す必要はない。我が国は、隣国コリンドの宮殿に何人も諜報員を送っておってな。情報が筒抜けなのだよ!」
「そうでしたか」
「キミは現地に派遣した女エルフを通じて、コリンドの宮殿と二次的に接触することが可能、……相違ないか?」
なるほど。もうある程度正解をお知りになった上で、こちらにお訊ねになられているのだな。
「はい、仰るとおりです、陛下。私自身、まだ第三皇女殿下とお会いして、直接お話をしたことはございません」
「ほぅ、……」
「ですが、女エルフさんを通じて、コミュニケーションを取って参りました!」
「なるほど。報告に対し、俄かには信じられなかったのだが、……誠であったか!」
そう仰って、ひとつ頷かれる陛下。
「私は、このチートスキルを『念話』と呼んでおります。女エルフさんの視野を借りて現地の様子を窺えますし、こちらの意見を女エルフさんに送って、代弁して貰うこともできます」
「素晴らしいスキルをお持ちですな。『神の御使い』として、その他にもチートスキル『マジックハンド』を行使することで、コリンドの宮殿に様々な物資を送っていたことも報告に上がっておりますぞ!」
「そちらも、本当の話です」
「ハルコン殿。他にはどんなチートスキルをお持ちか? できれば包み隠さず教えて頂けないか?」
なるほど。陛下は、先ずこちらの手のウチをお知りになった上で、改めて今後のことを話し合うおつもりのようだと、ハルコンは思った。