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20 ハルコンとミラ、王立学校に入学する_09

   *          *


「いいだろう。ハルコン、さっそく頼むよ!」


「了解です、マルコム! できれば早急に裏のグラウンドにメンバーを集めて下さい。メニューは先ずは初心者コースから! 根詰めていきますよぉ!」


「アレかっ? 滝汗の5分コースか?」


 ケイザンが、少し興奮気味に訊ねてきた。


「そうですっ! 一度やったらクセになる、……アレですっ!!」


「「よしっ。皆準備してくれっ!」」


 マルコムとケイザンが声を揃えて叫んだ。

 優秀なハルコンとミラが加わったことで、兄達は俄然張り切り出した。


「「「「「「おおおぉぉぉ~~~っっっ!!」」」」」」


 サークルの先輩達は、マルコムとケイザンの目つきが変わったのを見て、自分達もやる気が漲ってきた。

 一時間後、裏のグラウンドに兄達のサークルのメンバーが10人弱集まった。


 ハルコンとミラは制服の上着を脱いだままの格好だが、兄達や他のメンバー達は、運動用の軽装服に着替えていた。

 シルファー先輩も待ち時間にサッと着替えてきて、彼女も軽装服で参加している。


 普段「弱者連合」と揶揄されるマルコム達のサークルが、何か始めるらしい。そんな噂が学内に広まって、いつの間にか、そこそこの人数が見物に集まっていた。


 ハルコンがちらりとミラを見ると、彼女もグッと頷き返してくる。

 よし。ならいっちょ、始めますか!


「ハァイ、私はハルコン隊長だ! ようこそ、ハルコンズ・ブートキャンプへ! 先ずは、最強の5分コース、いくぞっ! さぁ、付いてこいっ!」


「「「「「「「「「「ヤァーッ!」」」」」」」」」」


「さぁっ、ムーブだっ! ヤァッ、レッツゴー!」


「「「「「「「「「「ヤァーッ!」」」」」」」」」」


「ムーブ、ムーブ、ムーブ、ゴー、カモンッ、レッツゴー!」


 さて、サークルのメンバーは、皆ノリ気だな。ミラも上々だし、メンバー達もどこまで付いてこれるかな? 


「……、カモンッ、レッツゴー! 1、2、3、4、レッツドゥーイット、カモンッ!」


 2、3分続けたところで、サークルのメンバー達の息が上がってきた。兄達は必死な表情で何とか喰らい付いているのだが、……まぁ経験者だしな。


 意外にも、シルファー先輩は初めてのトレーニングを順調にこなしている。時折、観客達から声援を受けると、笑顔で軽く手を振って返す位、余裕のようだ。


「……、ワークイット、ワークイット、ワークイット、ツーモアステップ、ヤァッ、ヒアウィゴー、カモンッ!」


 次第に、サークルのメンバー達から脱落者が出始めた。滝汗でへとへとになりながら、グラウンドにごろりと横になって、息をゼーゼーしている。


 ハルコンはちらりとシルファー先輩を見た。すると、彼女はニコリと微笑み返してきた。

 さすが、王族。体力も素晴らしいなとハルコンは感心した。


 さて、……そろそろ5分。この辺で終わりにしておくか。


「OK!」


 ハルコンとミラが揃って深呼吸を始めると、兄達を始め何とか付いてきたメンバーも、ホッとした表情で深呼吸を始めた。


「グッジョブ! 1、2、3、……ビク〇リーッ!」


 その言葉を聞いた参加者達は、皆急速にきた疲労に、思わず尻もちを衝く。


「キッツゥーッ、キッツゥーッ! アハハハハッッ!」


 シルファー先輩が滝汗を流しながら、満足そうに笑っている。他のメンバー達は、もう死屍累々のように、グラウンドに横たわっていた。


「すまんな、ハルコン。ハァッ、ハァッ、せっかくの居合術のサークルも、ハァッ、ハァッ、練習をサボってしまって、ハァッ、こんな具合だっ!」


 マルコムが、何とか横たわるのを堪えて、立ったまま話しかけてきた。

 でも、ハルコンとミラは汗ひとつかかず、ケロリとしていた。


「これは、短期集中コース、『スパルタ』でいきますかね?」


「「やっ、止めろぉ~っ!!」」


 兄達2人の声が、思わずハモった。

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