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20 ハルコンとミラ、王立学校に入学する_08

   *          *


「とりあえず、私とミラが大会に出場します。ちなみに、ミラも領地で魔物相手に実戦経験豊富ですから、並大抵の者では歯が立たないと思いますよ!」


「「「それは凄いなっ!」」」


 ハルコンの話を聞き、サークルの先輩達の多くは、どこか希望の光に魅入られたような表情を浮かべていた。


 でも、マルコムとケイザンは、とても心配そうにこちらを見つめている。


「なぁハルコン、ホンといいのか? ボクらが不甲斐ないばかりに、オマエやミラちゃんに迷惑をかけてしまって、……」


「ホンとだ。すまん、ハルコン!」


「いえいえ、マルコム、ケイザン。私もミラもそこらの子供に比べたら、天と地程の差でしょうから」


 ハルコンの言葉を聞き、ミラは横で「エッヘン」と胸を張る。


「おい、マルコム、ケイザン。ハルコンばかりに頼って、もし負けちまったらどうするんだ? さすがにマズいだろ?」


 この期に及んで、話の腰を折るヤツがまだいることに、ハルコンは内心イラっとした。


「ですから、先輩の皆さんも一緒に私達と闘うんですよっ!」


「でもぉ、……ボクらの大半は王都から出たことがなくて、……戦闘未経験なんだけどぉ」


 ピキィ。その言葉を聞いて、思わずハルコンのこめかみに青筋が立つ。


 そんな男どもをよそに、ミラとシルファー先輩は女子2人で話を続けていたのだが、どうやら話が決着したようで、……おもむろに手を上げてきた。


「なら、私も参加しましょうか? 槍術には自信がありますよ!」


「シルファー先輩は王族。確か、民事不介入では?」


「えへっ、そうでした」


 ハルコンのツッコミに、舌を出して微笑むシルファー先輩。すると、ミラがおずおずと手を上げる。


「なら、私と演武をしませんか? シルファー先輩の槍術がどの程度かワカりませんが、私の薙刀術は、実戦レベルで戦えますよ!」


「あら、いいですね。見せつけて差し上げますわ!」


 お互いにニマリと笑い合うミラとシルファー先輩を見て、2人の方が男どもよりずっと男らしいと、ハルコンは少々呆れてしまった。


「マルコム、とりあえず私とミラは参加。後はサークルのメンバーから有志に出て貰うということで」


「いいだろう。ボクとケイザンも及ばずながら参戦する。他のメンバーにも確認しておく!」


「では、最初に基礎訓練を皆で一緒に始めませんか? 基礎体力が付けば、体幹が確実に上がります。俄然やる気が出て、戦闘意欲の湧く者も出てくると思いますよ!」


「ハルコン、……もしかして、アレをやるのか?」


「えぇ、アレです。私とミラは今でも毎日続けておりますから、皆さんもこの際付き合って貰いましょう!」


「「マジかよ~っ! アレ、チョ~キツいんだよなぁ~っ!」」


「そこが、いいんじゃありませんか? ほら、ファイトですよファイトッ!」


「「えぇ~っ、マジかよぉ~っ!」」


「アレって何です? ハルコン、ミラ?」


「「はいっ。ハルコンズ・ブートキャンプですっ!」」


 シルファー先輩の問いかけに、ハルコンとミラは揃って白い歯を見せて笑った。

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