パーティーから2週間後。
秋深まる中、ハルコンとミラは、共に王立学校の門をくぐった。
これから2人は初等部、中等部と学び、より深く高度な学問を得たければ高等部、大学部とここに通うことになる。
最短で9年。最長で16年。学者になるのなら、更にず~っと先まで。
貴重な子供時代と青年時代の大半を、これからこの学び舎で費やすことになるのだ。
「ハッ、ハルコン。私の顔、引きつってないかしら?」
「うぅん、全然。いつもどおりだよ、ミラ!」
相変わらず、とてもかわいらしいミラ。緻密な目鼻立ちの彼女に、制服がとても似合っていて、……何だか目立っているなぁとハルコンは思った。
「ふふふっ、……」
「なぁに、ハルコン? 私、今、全然余裕ないんだけど!」
ミラは同世代の者が多く集まることで、動作がどこかぎこちなく、表情も強張らせている様子だね。
でもさぁ、……。先日のパーティーでは、結構堂々としていたのになぁ。
「いいんだよ、いつもどおりで!」
すると、ミラは一瞬きょとんとした表情を見せた。
「そっか、……とりあえず、頑張ってみる!」
どうやら、私の言葉に納得してくれたようだと、ハルコンは思った。
「ねぇミラ。私の両親は王立学校で知り合い、学生で恋愛結婚したって聞いているよ。ここではいろんなことがあると思うんだ。だからさ、もっと楽しんでいこうよっ!」
「そっ、そうだね、ハルコンッ!」
ハルコンが白い歯を見せて笑うと、ミラは思わず真っ赤になって俯いてしまう。
実際の話、ハルコンとミラは、両家とも家族ぐるみで付き合っている。
寄宿舎でも、ミラはハルコンの姉サリナと相部屋になるよう、運営側で前もって手配されていたようだ。
王立学校には、田舎と違って、華やかであか抜けた女の子がたくさんいるんだよねぇ。
でもさぁ、……。ミラの魅力だって相当なもんだよ!
その点は、大いに保証するからね。うんうんっ。
「私はねぇ、……ミラにしか興味ないから」
すると、突然ミラの肩がびくりと跳ね、おそるおそるこちらを見てきた。
「もうっ、ハルコンは余計なところに気を回し過ぎっ!」
照れたように、顔を赤くして怒り出してきた。
ミラはホンとかわいいなぁ、……心からそう思う、ハルコンだった。