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20 ハルコンとミラ、王立学校に入学する_01

 パーティーから2週間後。

 秋深まる中、ハルコンとミラは、共に王立学校の門をくぐった。


 これから2人は初等部、中等部と学び、より深く高度な学問を得たければ高等部、大学部とここに通うことになる。


 最短で9年。最長で16年。学者になるのなら、更にず~っと先まで。

 貴重な子供時代と青年時代の大半を、これからこの学び舎で費やすことになるのだ。


「ハッ、ハルコン。私の顔、引きつってないかしら?」


「うぅん、全然。いつもどおりだよ、ミラ!」


 相変わらず、とてもかわいらしいミラ。緻密な目鼻立ちの彼女に、制服がとても似合っていて、……何だか目立っているなぁとハルコンは思った。


「ふふふっ、……」


「なぁに、ハルコン? 私、今、全然余裕ないんだけど!」


 ミラは同世代の者が多く集まることで、動作がどこかぎこちなく、表情も強張らせている様子だね。

 でもさぁ、……。先日のパーティーでは、結構堂々としていたのになぁ。


「いいんだよ、いつもどおりで!」


 すると、ミラは一瞬きょとんとした表情を見せた。


「そっか、……とりあえず、頑張ってみる!」


 どうやら、私の言葉に納得してくれたようだと、ハルコンは思った。


「ねぇミラ。私の両親は王立学校で知り合い、学生で恋愛結婚したって聞いているよ。ここではいろんなことがあると思うんだ。だからさ、もっと楽しんでいこうよっ!」


「そっ、そうだね、ハルコンッ!」


 ハルコンが白い歯を見せて笑うと、ミラは思わず真っ赤になって俯いてしまう。


 実際の話、ハルコンとミラは、両家とも家族ぐるみで付き合っている。

 寄宿舎でも、ミラはハルコンの姉サリナと相部屋になるよう、運営側で前もって手配されていたようだ。


 王立学校には、田舎と違って、華やかであか抜けた女の子がたくさんいるんだよねぇ。


 でもさぁ、……。ミラの魅力だって相当なもんだよ!

 その点は、大いに保証するからね。うんうんっ。


「私はねぇ、……ミラにしか興味ないから」


 すると、突然ミラの肩がびくりと跳ね、おそるおそるこちらを見てきた。


「もうっ、ハルコンは余計なところに気を回し過ぎっ!」


 照れたように、顔を赤くして怒り出してきた。

 ミラはホンとかわいいなぁ、……心からそう思う、ハルコンだった。

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