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「カイルズよ。オマエのところのハルコンは、先日のパーティーでも注目の的であったと聞き及んでおるぞ! 将来とても有望で、親としてもさぞや鼻が高かろう?」
「いいえ陛下、滅相もございません。ハルコンはまだ幼き故、これから学ぶことが大変多くございます」
「ほう、そうかそうか。我が娘シルファーが、ハルコンと『友達』になったと聞いておる。今後ともよろしく頼むぞ!」
「ハハァッ! 恐悦至極に存じます」
陛下のお言葉に、カイルズは深々と頭を下げた。
ここは王宮奥深くにある、とある一室。
室内にいるのは王と宰相、ハルコンの父カイルズと女占い師の、いつもの4人。今回もまた再び集まって、極秘の話し合いが行われていた。
ふむふむ。最近、このメンバーでの話し合いが定着してきたね。
ハルコンは、女占い師に思念を同調させることで、この会談をじっと見守っていた。
「さて、カイルズよ。オマエの提案どおり、ジョルナム・ロスシルドを自由に泳がせておるが、……次の手を如何に考えておる?」
「引き続き、ジョルナム殿が王宮に警戒心を持たぬよう、内密の調査をお願いいたします。また、国内各所の綱紀粛正を継続し、治安維持強化も徹底するよう上申いたします」
「異存はない。各地より報告が上がっているが、今のところ然したる問題ではないな!」
どうやらロスシルドのルート、一本に隣国への出口を予め絞っておけば、他の場所から漏水することはないというやり方が功を奏しているようだ。
王ラスキンと父カイルズは、隣国コリンドがそもそも貧し過ぎるのが問題だと考えている。
貧するから、ファイルド国に攻め込んでくる。隣国でも順調に経済が回り始めれば、この流れはずっと改善されるはずだ。
「カイルズよ。ジョルナムにもこちらの手のウチを伝え、対コリンドでこれからヤツにも積極的に協力させるべきだろうか?」
宰相が訊ねてきた。
「えぇ、可能なら、……それがよろしいかと」
「ならば、先ず手始めに、ロスシルドの許に直接監視要員を送りたいところなのだが」
「それでは、現在シルウィット領に赴任している一級剣士殿を、これから現地に向かわせましょう! ジョルナム殿は、一級剣士殿をかなり崇拝しておりますからな!」
「なるほど。それがよろしかろう!」
以上で、本日の会合の意見がまとまった。
ハルコンはそのやり取りの一部始終を聞き終えると、再び自分の研究作業に没頭し始めた。