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ハルコン達兄弟の傍らで、ミラとサリナ姉は、会場中の女子達から注目を集めていた。
2人の元々の美貌もさることながら、セイントーク産の最先端モードのドレスに、ほんの少しのナチュラルメイクがとても映えること。
しかも、最近のサリナ姉はフラワーアレンジメントを普及させた立役者として、王立学校の女子達の間で羨望と尊敬を一身に集めているのだ。
「あらっ、皆さん集まっていらっしゃるわね!」
そこに、本日のパーティーの主幹事である、シルファー第二王女殿下のご登場だ。
シルファー殿下は、フラワーアレンジメントを通じて、サリナ姉とも大変仲が良いのだそうで。
ミラも殿下から親しげにウインクされ、直ぐにサリナ姉と共にカーテシーで返礼した。
「いいのよ、親睦会なのですから。あまり硬くなさらないでね!」
「はい」
ニッコリと、白い歯を見せて笑うミラ。
そんな具合で、3人の王都一の美少女達が並び立つと、もう華やかなことこの上ない。
しかも、その3人が今度はフラワーアレンジメントの大会でも開こうとか話そうものなら、もう周りの女子達は目の色を変えて聞き澄ましていた。
すると、突然辺りの空気が固まるように、……急速に冷え出してきた。
先程までの楽しそうなさざめきも途絶え、気圧の低いところを縫うように、一人の少女を基点にしたとある一群が、こちらに近づいてきたのだ。
その集団の中心にいる少女のことを、ハルコンは全く知らなかったのだが、……その隣には、ノーマン・ロスシルドがいた。
たまたまヤツと目が合ってしまうと、何だかもの凄い形相でこっちを睨んでくるんですけど。
ふと、傍らのミラを見ると、無言で小刻みに震えている。何だか、……かなり嫌な予感がする。
「どうしたの、……ミラ?」
「イメルダがいる。私、……あの人、チョー苦手なのっ!」
平気でチョー強い魔物を駆除できるくせに、……人間相手だと、どうやら無双できないらしい。
やれやれと思って、ハルコンは小さくため息を吐いた。
すると、その集団は王族のシルファー殿下がいらっしゃるのにも拘わらず、挨拶をすることもなく、近くスレスレを掠めるように通り過ぎていく。
その際、殿下と集団の中心の少女との間に、一瞬火花を散らしたように見受けられたが、この場では、特にいざこざといった問題は起こらなかった。
殿下は晴れやかな笑顔でハルコンの傍に立ち、耳元でこう囁いた。
「とりあえず、露払いは済ませておきましたよ。ハルコン様、……王都でも、十分活躍なさって下さいましね!」
ハルコンは、思わずハッとして殿下を見ると、彼女は王都一の美貌で輝くように微笑まれていらっしゃった。