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『女占い師さん、徹夜、お疲れ様でした。どうか、お体を大切になさって下さいね!』
翌朝早くに目を覚ましたハルコンは、女占い師に思念を同調させると、さっそく「天啓」をひとつ送った。
『お気遣いありがとうございます、ハルコン様。私、これ位なら全然へっちゃらですよ!』
女占い師が心の声で明るくそう告げるのだが、……なかなかガッツあるなぁと、ハルコンは素直に感心した。
さっそく彼女の視野を借りて部屋の周囲を見渡すと、陛下と笑顔で話をしている美しい少女を見かけた。
へぇー。一体誰だろう?
思わず気になって、そのまま少女の様子を窺っていると、
『シルファー第二王女殿下ですよ。まだ8歳とお若いのに、大変お美しくて聡明な方でいらっしゃいます』
そう心の声で、女占い師が教えてくれた。
ハルコンは、殿下の常人ならざる美しさに、思わず目を奪われていた。
先ず、彼女は、プラチナブロンドのストレート髪を肩まで伸ばし、すらりとしつつもメリハリのある身体をされていた。
際立つのは、トパーズのように透明感のある、オレンジがかったイエローのつぶらな瞳。
更には、知的につんと細い鼻先、バラの咲いたような情熱的な唇。知性がかったように細く整えられた眉など、その全てが絶妙に素晴らしかった。
ミラの美しさ、可憐さも中々なのだが、……それとはまた違った、情熱と知性、二面性のある麗しさが、殿下からは随所に垣間見えるのだ。
『シルファー殿下は、戦後復興期に生まれ、希望の世代の象徴と呼ばれています。現在は学生の身分で、王立学校には王宮から毎日通われていらっしゃるのですよ!』
『へぇーっ!』
『王立学校での授業に加え、王室での厳しい高等教育も率先して学んでいらっしゃいます。だからでしょうか、……同年代の子達よりも幾分大人びた考え方をされますし、兄殿下や姉殿下のための講義にくっ付いて参加されると、幼いながらも教師に質問なさったりするそうです』
どうやら、シルファー殿下は高等教育も積極的に学ばれる、頑張り屋さんのようだ。
ハルコンは、殿下から前世の自分とどこか似た雰囲気を感じ取り、何かいいなぁと思った。
おや? ここで、ふと気付いたことがひとつ。
シルファー殿下の側仕えの侍女が、どうやらその様子からNPCだということ。
ハルコンは、その見た目17、8歳のNPCに思念をアクセスさせると、難なく同調できたため、とりあえず位置情報などを把握できるよう紐づけした。
これで、今後殿下がどこにいらっしゃろうがアクセスできるね、とハルコンは思った。