当時、私には付き合っていた方がいました。
その方は、私を心配し、実家に来てくれて私を引き取ってくれました。
彼は母に「障碍者で人の助けがないと生きるのが難しいとわかっているのに、責めるだけで手を差し伸べようとしないのはなぜですか?」と初めて母を責めてくれました。
過呼吸発作を起こす度、殴らないで初めて背中を優しく撫ぜてくれたのです。
私にとってそれだけで信じるには十分でした。
そんなことをしてくれる人は今までいなかったので、きっとひよばあが連れてきてくれた人なんだと信じてさえいました。
彼は一年過ぎてすぐ変わっていきました。
働くのは私だけ、私のお給料と障害年金で生活して、私の月のお小遣いは200円でした。
食費を月二人で3000円で抑えろと怒られたり、金食い虫、金食い虫と罵るようになりました。
その頃には浮気相手がいたようで、離婚をするようにするようにと仕向けていたんだと思います。
何人浮気相手がいたのかは知らないのですが、浮気相手さんと話すのでとインフルエンザにかかった私を外に追いやられ、戻ってもいいと許可をもらって帰宅すると、食事を作れと言われました。
それでも私は彼に依存していました。
お前みたいな人間を許せるのは俺だけだと、気が狂うほど言い聞かされていて、自分みたいな家族にも愛されない人間はこの人以外は誰も愛してくれないとまた、地獄に足を突っ込んでいました。
私の友人と食事に行った際には、こんなブスが俺みたいなイケメンと結婚出来て奇跡だなと吐き捨てられました。
私はここで否定しても、何倍も言い返されるのでにこにこしていたのですが、友人は彼のことを頭がおかしいと指摘するようになりました。
しかし、離婚するほどでもない。離婚したら家に戻らないといけないのが怖くて、離婚できずにいました。
キャッシュカードも通帳も奪われていて、離婚しようものなら、慰謝料と言って全額もらうと脅されてもいました。
けれど、そんな私たちに転機が訪れます。
浮気相手さんとの痴情の縺れがあり、私が30針縫うけがを負うのです。
菌が入れば手首ごと切断だと脅され、もしかすると指は2本切断せざるを得ないかもしれない。とも脅されていました。
指は切断せずに済みましたが、感覚はマヒしたままです。
そこで初めて離婚を決意しました。
離婚を決めてから、彼は優しくなりましたが私がこんなにブスで俺はこんなに可哀そうだと泣かれて、離婚しようと話した時に「ゴミをゴミ箱に捨てられてよかった」と吐き捨てられました。
依存は暴言を吐かれるたび、だんだんとなくなっていきました。
そして離婚の約束にあった貯金は全額とられました。「生活できない。少し残してほしい」と懇願しましたが、彼は「元妻が死んだところで俺は困らない」と言いました。
その瞬間、今まで自分が頑張ればこの人は昔みたいに優しい人に戻ってくれると思い込んでいたのですが、目が覚めました。
この人は最初からこういう人だったんだと。
それから私は実家に頼み込んで家に戻りました。
何か月も寝込みました。苦しみました。そのたび、ひよばあが夢に出てきて励ましてくれました。
本当に大切にしてくれる人は、死んでも心にいてくれるのかもしれません。ずっと心配して夢の中で手を握ってくれました。