ダウンロードチャンネル。
この時代においてのテレビのようなものだと思ってほしい。
端末に番組をダウンロードして、
古いものでは端末に映し出し、
新しいものでは、端末を介して、電脳にインストールする。
ダウンロードチャンネルは無料。
気軽にダウンロードして、
電脳なら、番組を体感できる。
ダウンロードチャンネルは、
政府が公認しているものと、
政府が認めていないものがある。
当然のように、
ラブパンダも、白黒の敵も、
自分達の主義主張を織り込んだ番組を作る。
パンダの扱いに極端に差ができる番組が、
当然のように氾濫する。
仮面パンダーという番組は、そんな時代にあらわれた。
仮面パンダーは、
数百年前の英雄番組を踏襲して、
ある種のノスタルジックさに訴えるようなものだ。
悪人を、怪人を、ばったばったと倒していく。
たまには、白黒の敵と思われるものが倒されていくのも混じる。
基本は勧善懲悪。
スポンサーとして、政府がついている。
政府公認の番組だ。
ダウンロードチャンネルの基本として、
政府公認の番組はダウンロードが少ない。
アンチパンダの風はここにも吹いている。
けれど、仮面パンダーは、
妙なところでダウンロード数が伸びている。
それは、仮面パンダーのスポンサーとして、
公然の秘密で白黒の敵がついていて、
仮面パンダーが英雄でありながら、怪人ということもある。
仮面パンダーは、怪人を倒す。
けれど、仮面パンダーの世界では、
彼のしていることは認められない。
怪人にとっては、特殊な力を用いた殺戮であり、
一般人にとっては、脅威にうつる。
そんな描かれ方をしている。
たまに仮面パンダーの組織があらわれることがある。
過去の栄光にすがる、正義の味方といった描かれ方だ。
仮面パンダーに変身するヒーローは、
基本、その時代のかっこいい男である。
子ども人気、女性人気だけにとどまらず、
パンダ主義、反パンダ主義、
どちらからもマニアックな人気がある。
そんな、奇妙な番組だ。
電脳でダウンロードできるならば、
ぜひとも仮面パンダーの変身したほうのアクションに注目してもらいたい。
それは、凶暴なパンダを思わせる、
野生的な動きだ。
人間のように洗練されつつ、
三毛パンダのように理性が外れている。
格闘とも違う、暴れているにしては鋭い。
パンダと人の融合という、
仮面パンダーの活躍を、
みんなが固唾を呑んで見守っている。
それは、主義主張をこえた娯楽。
気持ちがいいほどの、カオス。
この番組の中では、
仮面パンダー以外は、何もかも、かっこ悪い。
仮面パンダーの制作会社は秘密にされている。
けれど、噂では、
知能を持ったパンダが作っているらしい。