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駅へ続くオフィス街の大通りを、横一列に並んで走る4体のマンティノイド。
路肩に駐車された無人の車の影から、自衛隊員たちがアサルトライフルを構えて身を乗り出す。マンティノイドに向けて発砲するが、硬い体表を傷つけるには至らない。
マンティノイドたちは車ごと自衛隊員を次々に切り裂きながら道を突き進む。ビルとビルの間から増援の自衛隊員20人を乗せたトラックが大通りに現れた。トラックから降りて攻撃を開始する隊員たち。トラックが走り去ると同時に、駅前で待機していた10式戦車1台が起動。大通りの真ん中を進み始めた。
戦車の主砲から砲弾が放たれ、自衛隊と抗戦していた2体のマンティノイドに命中。その体をバラバラに吹き飛ばす。残り2体のマンティノイドに狙いを定め、主砲は右に角度を変えた。直後、空から黒い雨のような邪気が降り注ぎ、自衛隊員たちと戦車を貫通する。全身に穴が空き、血を噴き出しながら倒れる20人の自衛隊員。戦車の車体からは黒い煙が上り、動きが止まる。
一方、邪気の雨はマンティノイドたちに一滴も当たらなかった。
マンティノイド「さすがはポコポコ様。はるか上空から敵のみを狙撃していらっしゃる……我らが神よ、引き続きご加護を」
2体のマンティノイドは大通りを突っ切り、駅舎を飛び越えて3本のレールが並ぶ線路に降り立った。線路に沿って東へと進む。
300mほど走ると、マンティノイドたちの正面に1人の少女が立ち塞がった。右手でコンバットナイフを逆手に握るキリミ。
キリミ「ヘイ、お兄さんかお姉さんかわからねーけどよぉ、ここ通りたきゃ、アンタらの首を置いてきな」
マンティノイドたちは足を止めることなくキリミのほうへ直進する。そして両腕の鎌、合計4つをキリミ目がけて振りかざした。レールを蹴って大きく飛び上がり、攻撃をかわすキリミ。マンティノイド1体に狙いを定めて落下し、ナイフを突き立てる。両腕をクロスさせてキリミのナイフから身を守るマンティノイド。そしてもう1体がキリミの背後から左腕の鎌を振るった。
鎌がキリミに当たる直前、マンティノイドの顔面に十数本の長い針が突き刺さる。攻撃は空振りに終わり、顔から白い体液を流して横向きに倒れた。
キリミのナイフを防いでいたマンティノイドも、頭の両サイドに出っ張ったようについている目が、後ろから針で貫かれる。マンティノイドの腕の力が抜けたのを感じたキリミは、ナイフを思い切り脳天に刺した。崩れ落ちるマンティノイド。
キリミはナイフを抜き、立ち上がる。刃に付着した体液を振って飛ばした。
双子の妹・サシミが、両手の指の間に仕込み針を挟んだまま正面から歩いてくる。
サシミ「お姉ちゃん、1人でやらせろって言ったくせに1体も倒せてないじゃん」
キリミ「2体目を
サシミ「うん、知ってる。お姉ちゃんの戦い、見てたから。マンティノイドは高い身体能力と鉄のように硬い体表を持っている。そして攻撃手段は鋭い両腕」
キリミ「まさかお前、コイツらのデータを取るためにアタシに戦わせたんじゃ」
サシミ「どうでしょ?」
キリミ「テメーなぁ!」
言い争いをするキリミとサシミを囲むように、多数のマンティノイドが線路に集まってきた。その数、25体。マンティノイドの1体が、尖った口を左右に開く。
マンティノイド「ガキ2匹……腕は立つみたいだが、多勢に無勢だな。どうする?降参すれば苦しまずに一発で殺してやる」
顔を見合わせるキリミとサシミ。
キリミ「だってよ。どうする?」
サシミ「さっき攻撃してみて、マンティノイドは皮膚こそ硬いけれど、眼球は柔らかくて脆いことがわかった。ならばここにいる全員、眼球を潰して
キリミ「弱点さえわかれば、大したことねーな。んじゃ、どっちが多く仕留められるか競争しようぜ。負けたほうは勝ったほうに200億円払うってことで」
サシミ「いいよ」
キリミとサシミに、マンティノイドたちが飛びかかった。