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第63話・色が色々

 太陽の位置が日々高くなっている。季節で言えば、まさしく初夏なのだろう。


 しかしここ、チーム猫耳恐竜の拠点では、適度な木々と清流の涼気が強い日差しからウチたちを守ってくれ、快適な事この上ない。


「大自然の脅威と大自然の守り。天然のマッチポンプみたいなもんか?」

〔……違うと思います〕


 環境がよいからって理由で今まではなんとなく拠点にしていたんだけど、そろそろしっかり腰を落ち着けようと思って、ウチはとある計画をぶち上げた。



「ぱんぱかぱ~ん! ツリーハウスを作る事にしました!」



「マスター、急にどうしただすか?(キリッ)」


 あ……キティがメチャクチャ不思議そうな顔になってる。


「いや、アンジーがウチのプライベートビーチを拠点にしちゃったからさ~。なんかこう、領地の主張? みたいなのをしておこうと思って」


 広めのログハウスもよいのだけれど、なんか、木の上ってのがワクワクするんだよね。隠れ家というよりは秘密基地的なとこがいい。


「ね。プチちゃんそう思うっしょ?」

「い、いきなり意味不明な同意求めないでください~」

「ところで、壊滅的なネーミングセンスのぱんぱかぱんツリーハウスってどんなものですの?」


 タルボ、君はボケ属性だったのか…… 


 さすがに個室は難しいけど、二~三人で一つのハウスってくらいでいけるんじゃないかと思う。

 そして、それぞれのツリーハウスを橋で渡して行き来できるようにすればいいし。


「あ、中心に広いログハウスみたいなのを作れば集まれていいよね」

〔八白亜紀、巨大なコテージを一つ作ればよいのでは?〕


 ウチは『わかってないな~』という表情で“チッチッチッ”と人差し指を振り、女神さんを“ビシッ”と指差して言い放った。


「秘密基地はロマンなんやで!」

〔はあ……〕


 女神さんは呆れてたけど、結構真面目に老若男女問わずロマンは大事だと思う。……と、自己弁護。


「それにね、せっかくカバンから色々な食材がだせるんだからさ、食堂みたいなのがあった方がよくない?」

〔それは確かに一理あります、意外と考えているのですね〕

「……だからひと言多いって」

〔定時に集まったり、しっかりと食事管理することで、恐竜人ライズに文化的な考え方が浸透するきっかけにもなるでしょう〕

「そ、そうそう、それそれ。それが狙いやで!」


 ……嘘です。そこまで深く考えていませんでした。


 でもそれはつまり、肉食恐竜としての捕食本能を、各々が理性で管理できるようにするって事に他ならないと思う。


 恐竜らしさが無くなるとも言えるけど、これも人類の進化が早まるだけの話だと考えることにした。


「姐さ~ん、こんな感じでいいっスかー?」

「そうそう、この辺りの木に絡んでいる食虫植物それは全部とっちゃってー」


 プチがまた中に落ちないように、巨大なウツボカズラみたいなヤツは全部外しておかなければ。


 最初は畑の肥料にでもしようと思ったんだけど、こいつ……メチャクチャ臭い。危険な臭いがプンプンしていて目にしみる。


 これで腐敗なんてしたらどうなる事か……あとで海にでも流しとこう。



 砂浜での闘いのあと、ウチの思う“ガイアとのコミュニケーションの取り方”を全員に伝えた。

 一人だけ特別扱いするような形になるから、トラブルが起きるのを覚悟していたんだけど、そんなことはウチの危惧でしかなかった。


 更にはこういった体を使う作業が、『ガイアには困難』だとみんな理解してくれて、文句を言わないばかりか『ガイアの分まで』って動いてくれている。


 なんか優しい世界だ。……ウチ、涙がでてくるよ。


「みんな、素敵にジュランドリーすぎるぞ」

〔なんですかそれは? いや、というか、もしかして……〕

「ジュラシックなフレンドリーやで!」

〔やはり。今迄で最悪レベルにセンスがありませんね〕

「……ほっとけ」


 ちなみに、ガイアにピンチを救われたティラノは『馬鹿にするような事いって悪かった』と、みんなの目がある前で堂々と謝ってた。


 やはりこの一本筋の通った性格は尊敬に値する。そのあとはもう、ウチが引くくらい献身的で、このままいいコンビになってくれたらと期待してしまう。


 当のガイアと言えばティラノたちの事を『マナが……白色。デス』と、言っていた。

 ジュラたまの色とマナの色が一致していたから、なにか重要な意味がありそうな気がする。


「ガイアちゃん、ウチは?」

「無色……透明。デス」


 うむ、余計に訳わからん。ちなみに初代はつしろ新生ねおの色を聞いてみたら『紫』で、アンジーは『空色』だった。


「腹黒は黒く見えたりしないのかな?」

〔それは、自分は透明だから清廉潔白ですよアピールをしようという腹黒な考えですね〕


 ……あ、読まれてた。

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