太陽がサンサンと降り注ぐ白い砂浜。透明感のあるブルーでトロピカルでリゾートな海。爽やかな風が吹き抜けて、最高に気持ちがいい。
……ま、争い事がなければの話だけど。
魔王軍の残りは三人。リーダー格のござる樹木人と、なんだかフワフワした感じのねーちゃん、そして羽根の生えた身長一メートル位の……妖精?
対するこちらは遠距離型のガイアと、鈍器アタッカーのタルボ。
「二対三か……」
ここはプチにもでてきてもらうか、それとも戦闘力ミジンコのウチが……
「私がやるよ。かまわないよね?」
「おお⁉ ケーラちゃん!」
トリケラトプスの
加えて、絶対防御のライズスキルを持っていて、これは心強いなんてもんじゃない。
「すまねぇ、頼むわケーラ」
「ああ、任せて寝ときな」
ティラノが人任せにするのを初めて見る。
今までこんな事はなかったのに、やはりウチとリンクしている
「んじゃ、ケーラちゃん。今はウチの戦術に乗ってもらうよ」
「了解した」
「さて……待たせたな、魔王軍の諸君。闘い方はどうする?」
「えらく余裕でござるな。では当初の予定通り次は二対二、セイレーンとハーピーでござる」
なるほど、フワフワした雰囲気がセイレーンで、飛んでいるのがハーピーか。
ウチのゲーム知識に照らし合わせると、セイレーンは幻惑系スキル持っているはずだし、ハーピーも魔法主体のハズ。
魔法耐性がない
しかし、そうは言っても二対二はむしろ好都合かもしれない。ガイア&タルボなら能力はわかっているし、二人までなら同時にジュラたまブーストで力押しもできる。
それにケーラはスキル以外の能力がまだはっきりとわからないから、むしろソロがよかったんだよね。
「OK、じゃこっちはガイアちゃんと……」
「ここは私がでよう!」
「そう、ケーラちゃんで!」
――って、なんですと⁉
いきなり宣言するから思わず名前言っちゃったじゃんよ。
え~、マジか~。つか、メンバー交代を……ってぇぇ、すでに進みでて睨み合ってるし。
「ガイアちゃん、
「わかり……ました。デス」
しかたがない、これを基本形としてガイアに上手く動いてもらわないと。とりあえず今わかっているケーラの特性は……
「あかん、冷静な力持ちってこと以外なにも知らないわ」
最初に攻撃を仕掛けたのはハーピーだった。いきなり猛スピードで真上に飛び上がると、そこから羽根をダーツのごとく撃ち降ろしてきた。
頭上から雨のように降り注ぐ大量の羽根の矢。しかしこの攻撃は二人に届いていなかった。
ガイアが
「ケーラちゃん、セイレーンの動きに注意して。ガイアちゃんは防御に集中! ……って、あれ? でもこの攻撃続けさせておけば羽根なくなって落ちてくんじゃね?」
〔残念ながら、ハーピーの羽根矢は魔法攻撃です〕
「え~。羽根なくならないんかい」
〔それよりも、どうやらガイアの
言われてみれば、ハーピーの羽根矢はガイアの
「これは嬉しい誤算。ガイアってメチャクチャ有能じゃないか」
ウチ以外に魔法耐性の装備があるのは超ラッキー。ここはまずセイレーンを倒してからハーピーに、って順番がよさそうだ。
……って思っていたんだけど、このタイミングでアイツが口をだしてきやがった。
「おい、ケーラ。なにやってんだよ、さっさと攻撃しろよ!」
ライズ・マスターである
……これはまずい、ウチがなにを言ったところで、アイツの命令の方が優先されてしまう。
「ケーラちゃんストップ! 防御固めて!!」
「うるせぇ、ちんたらやってんじゃねぇ。つっこめ!」
ケーラは盾を構えてはいるものの、魔法に対しては無防備のままだ。
そういった特性や相性を考えていないから、初代新生の
指示通りなんの対策もせずに突っ込むケーラ。そこにセイレーンの氷魔法がカウンターで発動する。
——鋭い四本の氷槍がケーラに向かって放たれた!
「ガイアちゃん、頼む!」
その瞬間、ガイアは
まさしく間一髪だ、ガラスが砕けるような音が響き、砕け散る氷の槍。
……だけど、ここにウチの誤算があった。それは、“防御”ではなく“相殺”だったということ。
手数で押すハーピーの羽根矢とは逆で、連射はできないけど一発の威力が大きい魔法なのだろう。氷の槍を受け、四枚の
そして、破壊された衝撃はガイアにフィードバックされる。相当なダメージを受けた彼女は、力なく
――そこへ容赦無く降り注いでくる、ハーピーの羽根矢。
「危ない!!」
ウチは咄嗟にガイアの上に覆い被さった。
サクサクッ……サクサクッ……という軽い音が聞こえ、そしてウチに刺さる“ザクッ”という音。……は、しなかった。
「あれ?」
ああ、そうか。ウチには魔法耐性あったんだ。羽根矢くらいなら耐えられるのか。
「あぶね~。魔法の羽根でよかったわ。物理攻撃だったらマジでヤバかったな」
不幸中の幸い、ガイアの意識はしっかりしていた。これならすぐに回復できる。
「よかった……ほんっと心臓に悪いわ。止まるわ、普通。ウチが“毛の生えたノミの心臓”じゃなければヤバかったぞ」
「マスター……重い。デス」
「レディに『重い』とか言うもんじゃありません」
〔……レディ?〕
「こらそこ! 疑問を差し