勇者を暗殺。
つまり、コッソリ殺してしまうわけだ。
「というわけで、ウォーバル、よろしくね!」
「おいちょっと待て、ふざけんな!」
シルフィアの一言に、ウォーバルは声を上げた。
「なんでよ。そういうのに一番向いてるのはウォーバルじゃない」
「てめぇ・・・」
本気で怒りだしそうになる前に・・・
ファイレーンが口を挟んだ。
「ちょっと待ってください。暗殺も否定しませんが、それは最終手段にしましょう」
「なんでよ。正面から戦っても勝ち目はないじゃない。
まさか三人がかりで戦えば何とかなるとか言い出さないよね?
ボクはそれは賛成できないな」
シルフィアは片手をパタパタと手を振って否定した。
「そうではありません。
二人とも、我々魔王軍の最終目的を思い出してください。
そのためにも、我々魔王軍は
『ナメられたらダメ』なんですよ。
つまり・・・、
『グランザは四天王最弱であり、
残りの三人がいれば勇者も人間軍も脅威ではない』、
と言うところを見せないといけないんです。
四天王の一人がやられたなら他の誰かがやり返さないと、
四天王の格は回復しません。
だから暗殺ではだめだし、いきなり三人でかかるのもダメです」
その言葉を聞いて、シルフィアとウォーバルの表情が一気に真剣なものになった。
・・・・が、すぐに気弱さが表に出てきた。
「いや、確かにそれはそうだけど・・・」
「ハッ、言うのは簡単だが、実際どうするんだ!?」
ウォーバルが威張りながら情けないことを言う。
だが、ファイレーンは何やらやる気を取り戻してきたのか、
・・・カラ元気かもしれないが、
眼鏡を光らせてグイっと前に乗り出した。
「やるしかない!
名付けて、
『奴は四天王最弱!』作戦です!」