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奴は四天王最弱!~本当は一番強い奴が最初に倒されたけど、バレないようにごまかすしかない!~
奴は四天王最弱!~本当は一番強い奴が最初に倒されたけど、バレないようにごまかすしかない!~
長多 良
異世界ファンタジー冒険・バトル
2025年01月17日
公開日
13.9万字
連載中
【強すぎる勇者にハッタリで立ち向かう四天王(一人敗北済み)の話】

「グランザめ。勇者ごときに敗れるとは・・・」
「四天王として失格だよね。」
「だが奴は所詮四天王最弱!」

魔王軍四天王の一人が勇者に倒された。その知らせお受けた残りの三人は・・・

(((いや、あいつが一番強いんだけど、残った三人でどうやって勇者を倒せばいいんだ!?)))

実は最初に倒されたのが四天王最強だった!
しかし、そんな事がバレたら残りの3人も勇者にあっさりやられてしまう。
そして何より・・・勇者にも、魔王軍の部下たちにも、
ナメられたら四天王としておしまいである!

そこで残った三人は、知恵を絞って
いかにも最初の一人が最弱だったかのように勇者に信じ込ませ、
自分たちの威厳を保ったまま勇者を倒す作戦を考えた。
時にはベタベタな悪役の演技をして、
時には陰でひどい目にあって。

作戦名は「奴は四天王最弱!」

果たして作戦は成功するのか!?
そして作戦は意外な展開に・・・?

※基本的に、笑い多めの作品となっています。

他サイトでも投稿しています。

第1話 四天王VS勇者 その始まり

「まさかこの俺を倒すとは・・・。勇者よ、見事だと言っておこう・・・」


 長髪の剣士は膝をつき、黒いコートを自ら血で濡らしながら、目の前のもう一人の剣士、勇者にそう言った。

 そちらも大きな傷を負っているが、しっかりと立っている。先ほどまで繰り広げられていた戦いの、勝者だ。

 激しい戦いの余波で周囲が崩れ行く中、勇者は問いかける。


「お前の名前・・・もう一度聞いておこう」

「俺は・・・魔王軍最高幹部、四天王の一人、黒剣こっけんのグランザ。

 だが勇者よ、俺を倒したからと言って甘く見ないことだ。

 俺は四天王の中でも最弱・・・。残りの三人は俺以上の強者達だ。

 貴様などひとたまりもないぞ・・・ふふふ・・・」


 そう言ってグランザはその場に倒れ伏した。


 ◆


 グランザと勇者の戦いから遠い地、魔王城。

 その一角、とある部屋の中は異様な空気に包まれていた。


 薄暗い部屋の真ん中には、先ほどのグランザの最期の様子が映し出された巨大な魔術球体。

 その周りには三人の魔族が座り、その映像を見ていた。

 魔王軍四天王、その残りの三人である。

 さらにその周りには、幾人かの魔族の幹部がいたが、彼らはその映像を見てうろたえていた。


 まさか四天王の一人がやられるなんて・・・。と、

 口には出さないが、ショックを受けていることは明らかだった。

 しかし、四天王の三人は慌てる様子もなく、それぞれ口を開いた。


「グランザめ。勇者ごときに敗れるとは・・・」

「あーあ。ガッカリだな。四天王として失格だよね」

「ハッ!だが奴は所詮四天王最弱!

 勇者め、いい気になるなよ。首を洗って待っていろ」


 その力強い自信に、魔族の幹部たちは不安を払しょくしたようだ。

 そうだ、グランザ様よりもっと強い人がまだ残っている!


「おめえら!いつまでもウロチョロしてないで、さっさと持ち場に帰れ!」

「私達はもう少し今後の話をしていきます。機密事項ですので、出て行ってください」


 四天王の2人にそう言われて、幹部たちは部屋から出て行った。


「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」


 しばらく沈黙が続いた後、三人は周囲をゆっくりと・・・慎重に見渡して・・・

 誰も聞いていない事をしっかり確認した後に・・・。


「どうしましょう!グランザが四天王で一番強いのに!?」

「もう勇者に勝てる奴いないじゃん!?」

「残った俺たちで、どうやって勇者を倒す!?」


 魔王軍最高幹部、四天王の残りの三人は、大パニックに陥っていた。


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