昨日までのぐうたらした1日が嘘のように、次の日の朝は早くから起きねばならない。
そう。
それは正月を過ぎれば駆け足でやってくる、もう少しと望んでもその日は必ず訪れるもの。
『休み明けの登校初日』だ。
ようやく起きた僕は、朝の針で刺すような痛い寒さの中をとぼとぼと学校へ向け歩いていた。
「おはよ」
「おう」
「朝はやっぱり寒いね」
「まぁ冬だからな」
ウチの数軒隣から見知った姿が道に出てきて挨拶をしてきた。
幼馴染みの天音響だ。
「はい、これ」
「え?」
手渡されたのはすでにぬくぬくに暖められていたカイロ。
「暖かい……」
「でしょ? だって……」
「ん?」
彼女が少しだけ体を僕の方に近づけた。
「わたしのここにさっきまであったんだからね」
そういいつつ自分の胸元を指差す。
「え? は?」
困惑する僕に更に体を寄せてくる。
「えへへ……。大丈夫!! こうすると私も暖まるから」
ギュー!! と僕の腕をとり、ピタリと体をくっつけてきた。
そしてちょっとだけ、いつもの笑顔をむけてくるけど、その顔色は暖かいからなのか何なのか、首までが朱く染まっている。
と…くん……。
「あ……」
「ん? どうしたの?」
追い討ちのように僕を見上げるその顔にーー
「な、なんでもない!!」
僕はきっと幼馴染みだけでは説明できない、新たな気持ちが膨れ上がりつつあるようだ。