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初詣


 正月も3ヶ日が過ぎ、既に4日となったところで、クラスメイトの太一からスマホに連絡が入る。


『明日、時間あるなら初詣行かないか?』

 特に用事など無いし、連絡がなければ何処かに行くつもりもなかった俺は、二つ返事で太一に『いいぞ。待ち合わせと時間と場所は?』

と返事を返した。


 日が開けて1月5日ーー


 太一との待ち合わせ場所に早め着いた俺は、1人缶コーヒーを飲みながら太一が来るのを待っていた。


「悪いな芳輝よしてる。ちょっと遅れたか?」

「いや、1、2分くらい……かな?」

 聞きなれた声に振り返ると、そこには太一と、クラスメイトの女子の吉田とまゆずみの姿があった。


「よし、早速行こうぜ」

「あ、あぁ……」

 てっきり太一と2人で行くものと思っていた俺は、女子2人増えていて動揺する。


 初詣に行く場所は毎年わりと参拝客が集まり、時間によっては混む神社なのだが、案の定割りとーーではなく、かなり混雑していた。


 縫うようにしながらも、お参り待ちの列に並び、時間がかかったけど、ようやく俺たちの番になる。


「けっこう時間掛けてお願いしていたみたいだけど、何をお願いしたんだ?」

「好きな人とまたこれます様に……かな?」

 隣にいた黛に声を掛けると、黛は少しだけ首を傾けながら、呟くように言葉を返してきた。


「へぇ~、黛は好きな人いるんだな」

 何気ない俺の言葉に隣で大きなため息が聞こえる。


「そろそろ場所開けようぜ」

 太一が横にずれ、女子2人もそれについて行こうとしたときーー


ドンッ

「きゃぁ!!」

「おっと……」

 後ろから押された黛が倒れそうになり、てを伸ばして彼女の手を掴む。


「あ、ありがと……」

 はにかみながら、顔を朱くする黛。


 その瞬間、ドクリと心臓が跳ねた気がした。


ーーえ? あれ?


 これが、俺の恋の始まり。

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