(背景:工房の庭。風に揺れる木々の下、左平が布を広げ、健太郎が興味深そうに覗き込んでいる。)
健太郎「なるほど、江戸時代の人物画って、服装がすごく特徴的ですね。キャラの個性を引き立ててる感じがします!」
左平「その通りよ。人物を描くうえで、装いは性格や身分を伝える大事な要素じゃ。例えば、町人と武士とでは着るものがまるで違う。」
健太郎「あー、それ、アニメのキャラデザと同じですね! キャラの立場や性格が、一目でわかるように服のデザインを考えるんですよ。」
左平「ふむ。例えば、この絵を見よ。」(錦絵を広げる)「大名や武士は格式を重んじるゆえ、紋付きの裃(かみしも)を着る。これは身分の高さを示すものじゃ。」
健太郎「なるほど……一方で、庶民は動きやすい着物を着てるんですね。柄も派手じゃなくて、実用的な感じがする。」
左平「そうじゃ。町人は洒落を好み、派手な柄を身につける者もおるが、庶民の暮らしを反映した簡素な装いが基本じゃな。」
健太郎「これ、アニメのシルエットデザインにも通じますね! 例えば、主人公とライバルは立ち姿や服の形を対照的にして、遠くから見てもすぐに違いがわかるようにするんです。」
左平「ほほう、それは面白い。実は、わしらも似たような工夫をしておるのじゃ。たとえば歌舞伎では、悪役は黒を基調にした着物を着せ、正義の者は白や鮮やかな色を用いる。姿形を見ただけで、善悪の違いがわかるのじゃ。」
健太郎「おお、まさにアニメの色彩設計ですね! しかも、着物の袖の形や帯の結び方でキャラの性格まで表現できそう。」
左平「まさにその通りよ。動きの中でも、その者の持つ“らしさ”を伝えるのが絵師の役目じゃ。衣装のシルエットも含め、全体の調和が大切なのじゃ。」
健太郎「いやー、勉強になるなぁ。現代のキャラデザにも活かせそう! ところで、江戸時代の色使いの工夫ってどんな感じなんですか?」
左平「ふふ、では次は“色彩の妙”について語ろうかの。」