(背景:工房の一角。左平が筆を走らせ、力強い筆致で馬を描いている)
健太郎「おおっ! めっちゃ躍動感ある馬ですね! でも……あれ? よく見ると脚の形、ちょっとデフォルメされてる?」
左平「ふむ、写実的に描くのが良いとは限らんのじゃ。動きを感じさせるためには、あえて誇張することも大事よ。」
健太郎「あ、それめっちゃアニメっぽい考え方ですね! アニメの動きも、リアルな動きをなぞるんじゃなくて、“誇張”して見せることが多いんですよ。」
左平「例えばどんな技法があるのじゃ?」
健太郎「たとえば“スquash and stretch”(スクウォッシュ&ストレッチ)っていう技術があって、動きを強調するためにキャラの体を伸び縮みさせるんです。江戸時代の絵師たちも、似たようなことをやってたんじゃないですか?」
左平「むろんじゃ。例えば歌川国芳の武者絵を見よ。大きく振りかぶる腕、誇張された筋肉の動き……あれこそ“動きの強調”なのじゃ。」
健太郎「あー! たしかに、ポーズがめっちゃダイナミックで、静止画なのに動いてるみたいに見える!」
左平「そうじゃ。さらに“流線”を使うことで、動きの方向を目に訴えかけるのも重要よ。」
健太郎「あ、それ、アニメの“スピード線”の発想と似てますね! キャラが走るときに後ろに線を入れて速さを表現するのと同じかも。」
左平「ふふ、お主もなかなか見えてきたようじゃな。動きを描くには、ただの“写実”ではなく、いかに“感じさせる”かが肝要なのじゃ。」
健太郎「アニメーターも、動きのリアルさより“説得力”を大事にしてるんですよ。例えば“フレーム抜き”っていう技法があって、わざと中間の動きを省略することで、動きをより速く見せるんです。」
左平「ほう、まさに“間”の技術じゃな。わしらも、墨の濃淡や省略を使って、見る者に“想像させる”ことで、より生き生きとした絵を描くのじゃ。」
健太郎「やっぱ江戸時代の絵って、アニメとめちゃくちゃ繋がってるんですね……!」
左平「むろんじゃ。さて、お主、次は“キャラクター表現”について知りたくはないか?」
健太郎「おお、興味あります! 江戸時代のキャラデザとか、表情の描き方、知りたいです!」
(次回へ続く——江戸のキャラクターデザインとアニメの表情!)