(背景:工房の一角。健太郎と左平が並んで屏風絵を見ている)
健太郎「うわぁ……この屏風、めっちゃダイナミックですね! 遠近感とか構図がすごい……。」
左平「ふむ、これは“浮絵(うきえ)”という手法じゃ。遠近法を意識し、奥行きを出すように描いておる。」
健太郎「あっ、西洋の遠近法に影響を受けたっていう、あの技法ですね! でも、普通の浮世絵って遠近法があんまりないですよね?」
左平「そうじゃな。西洋画のように一点透視の遠近法を用いるのは一部で、基本的には“平面的な構図”を大事にする。」
健太郎「あ、それ、アニメのカメラワークにも関係してる気がする! 日本のアニメって、海外の3D的なカメラワークとは違って、どこか“平面的”なんですよね。」
左平「ほう? 具体的にはどういうことじゃ?」
健太郎「たとえば、舞台演劇みたいに横長の構図でキャラを並べる『横並び構図』とか、斜め上からの視点で場面を俯瞰する『神の視点』とか。これって、江戸の絵巻や浮世絵の構図とめっちゃ似てません?」
左平「なるほど、確かに絵巻物は“流れ”を大事にし、構図も連続して物語を伝えるために工夫されておる。歌川広重の風景画なども、斜めの視点を取り入れておるな。」
健太郎「そうそう! だから、日本のアニメも“平面的なレイアウト”を活かした独特のカメラワークを使うことが多いんです。たとえば、ジブリの映画なんかは、カメラをグリグリ動かすんじゃなくて、画面の中で構図を工夫してる感じなんですよ。」
左平「ふむ、確かに絵師たちも“画面のどこに目を向けさせるか”を計算しながら構図を決めておる。人物を手前に大きく描き、背景を奥に配置することで遠近感を出すのも、その工夫のひとつじゃ。」
健太郎「あ、それもアニメの『レイアウト』に通じますね! 背景をどう見せるか、キャラをどこに配置するかで、物語の印象が変わるんですよ。江戸の絵師たちも、今でいう“アニメの演出家”みたいなことをしてたんだなぁ。」
左平「ふふ、そうじゃろう。絵とは単なる美しさではなく、“物語を伝えるための道具”なのじゃ。」
健太郎「なるほど……江戸時代の構図の考え方、アニメの演出にもめっちゃ活かせそうです!」
左平「ふむ。ならば次は“動き”について話そうか。絵を描く者にとって、動きを表現するのは大事なことじゃろう?」
健太郎「おお、それめっちゃ興味あります! 江戸時代の絵師たちは、どうやって“動き”を表現してたんですか?」
(次回へ続く——江戸の動きの表現とアニメーション!)