(背景:工房の一角。健太郎と左平が行燈の灯りを眺めながら話している)
健太郎「やっぱり、江戸時代の絵って影が少ないですよね。浮世絵とか、ほぼベタ塗りって感じで。」
左平「ふむ、それは西洋画と比べておるのか?」
健太郎「そうそう! 西洋の絵画って、陰影をめっちゃ重視するじゃないですか。光がどこから当たって、影がどう落ちるかを描くことで立体感を出す。でも、浮世絵は影をほとんど描かずに平面的な構図で魅せる……。」
左平「それこそが“デザイン”というものよ。影を描かずとも、色と線の配置で立体感や奥行きを表現するのが、わしらのやり方じゃ。」
健太郎「あ、わかる! これ、アニメにも通じるんですよ。アニメって基本、線画+色分けでキャラを作るから、立体的な陰影よりも“見やすさ”や“デザイン的な映え”が大事なんです!」
左平「ほう、なるほどな。では、お主らは影を一切描かぬのか?」
健太郎「いや、それがまた面白くて! たとえばセルアニメでは、影を『ベタ塗りの二色』とか『グラデーションなしのパキッとした影』で表現するんですよ。これは浮世絵の影なし表現に近いと思うんですよね。」
左平「ふむ、たしかに影を単純化することで、絵の印象をはっきりさせる効果があるな。」
健太郎「でも、最近のアニメでは影のつけ方がどんどん進化してて、セル画の時代は平面的だったのが、デジタルになって“エアブラシ”とか“ハイライト”で西洋画っぽい陰影をつけたりもするんですよ。」
左平「ほほう。つまり、お主らは“影を描く”ことも、“描かない”ことも、場面に応じて使い分けておるのじゃな。」
健太郎「そうそう! たとえば、アクションシーンでは影を増やして迫力を出すし、日常シーンでは影を控えめにして可愛く見せたりする。江戸の絵師たちも、場面によって使い分けてたんですか?」
左平「もちろんじゃ。芝居の絵なら、役者の表情を際立たせるために陰影を最小限にし、動きを強調する。風景画なら、色の濃淡で遠近をつける。すべては“何を伝えたいか”によるのじゃ。」
健太郎「あ、それ、アニメとまったく同じ考え方だ……やっぱ江戸時代の技術、すげぇ!」
左平「ふふ、まだまだ学ぶことは多いぞ。さて、次は“構図”について話してみるか?」
健太郎「ぜひ! 江戸の構図とアニメのカメラワーク、めっちゃ気になります!」
(次回へ続く——江戸の構図とアニメのカメラワーク!)