(背景:健太郎は江戸時代の工房で、絵師・左平と共に絵巻物を広げている)
健太郎「うわっ、長っ! これ、何メートルあるんですか?」
左平「これは『伴大納言絵巻』といって、約10メートルほどあるな。」
健太郎「マジか……。でも、これって一枚絵の集合体ですよね? なんか、漫画のコマ割りみたいにも見えるな。」
左平「おお、鋭いのう。実際、絵巻物は“時の流れ”を絵の配置で表現しているんじゃ。たとえば、この場面……」
(左平が絵巻の一部分を指さす)
左平「ここでは火事が起こる場面が描かれとるが、よく見ると人々の動きが段階的に描かれとるじゃろう?」
健太郎「ほんとだ! まるでアニメの原画みたい。最初は驚いてる人がいて、次の部分では逃げ出してる……まさに“動き”を意識した構成ですね。」
左平「そうじゃ。画面の中に時間の流れを組み込むのが、絵巻の技法のひとつよ。お主らのアニメの“コマ割り”とも通じるものがあるじゃろう?」
健太郎「めっちゃあります! しかも、視線誘導の工夫もされてますね。絵が自然と右から左へ流れるようになってる……これは、映画のカット割りの元祖かも!?」
左平「ははは、えらく感動しとるな。しかし、ここに描かれておるのは物語を伝えるための技法じゃ。お主らのアニメも、物語を伝えるために作っておるのだろう?」
健太郎「そうなんですよ! 絵巻物って、歴史的にすごい重要だったんですね……これはアニメ制作にも応用できそう!」
左平「ふむ、どうやらお主はこの時代に来た意味があるようじゃな。」
(次回へ続く——江戸のカラーパレットと現代アニメの色彩設計!)